第13話 二重人格と引っ込み思案と男の娘達

「皀の裏人格とどうしたら仲良くなれるか?」


野猿事件が終わり、その報告も兼ねて

俺は先生に相談していた


「はい、彼女のあの力は戦力になります。味方か敵かの判断くらいはさせたいというか」


「なるほどな。そう言うのはお前だけだな、感心だ。と言ってもわたしにも対処法は知らん」


先生はすっぱりそう言った後出席簿を出す


「しかし皀の扱い方なら幼馴染に聞くのが一番だ」


そう言って見せてくれたのは皀さんと莇さんのプロフィールだ

あれ、この二人幼稚園から全部一緒じゃないか

だからあの人人の行列の一番後ろにいたのか。教えてくれたらいいのに

寮の部屋も一緒か、ていうか隣じゃんか

ということで俺は京塚さんも(強制的に)連れて莇さん達の部屋に向かった


「ねぇ椿君、なんで僕まで付いてかないといけないのさ」


「京塚さんだってこれからずっとボッチでいるつもり?それならどうぞ部屋にお帰りください」


「むーっ意地悪〜〜」


むすくれてる京塚さんを放置して5号室のドアをノックする

すると風呂上がりらしい皀さんが顔を覗かせた

まだ肩にバスタオルをかけている


「あれ?真琴ちゃんに椿ちゃん?どうしたの?」


「私皀さんと莇さんと仲良くなりたくて、遊びに来たんだ♪部屋に上がらせてもらってもいい?」


「え、あ、菫ちゃん今お風呂入ってるけど、私はいいよ。上がって」


俺達は難なく部屋に上がらせてもらい

部屋を見渡す、同じ部屋とは思えないほど整頓されている

何処かの誰かさんみたいに片付け出来ない自称男の娘とは大違い


「ちょっと、聞こえてるからね」


「いやナチュラルに心読まないでよ」


「何もないところだけどゆっくりしてね。あ、麦茶ついでくる!」


テコテコパタパタとそんな効果音を出しながら

皀さんは忙しそうにあちこちに走り回っている

俺にそういう趣味はないがロリコンの気持ちが何となく分かった気がする

すると莇さんも風呂から上がってくる


「こんばんわ椿さんに真琴さん♪来てらっしゃったのね♪」


「あ、ごめん莇さん。お邪魔しちゃって」


「カンナがいいなら私もいいのです♪気にしないでください♪」


風呂上がりでテンション高いのか

俺にハグしながら話しかけてくる

俺は何とかたわわな果実に目を取られないように目を背けるが

風呂上がりのいい匂いについつい顔がにやける

しかし目線の先に頬を膨らませている京塚さんと目が合い

なんと京塚さんも俺の腕に絡みついてきた


「ちょっと莇さん。これ僕のだから触らないでよ」


「あら、いつ決めましたの?私は椿さんと一線を超えた仲なのですわ♪」


「何も超えてないから!離れてよ二人とも!!」


「みゅ?三人とも仲良いね?」


「「仲良く無いわ!」」


皀さんの言葉に俺と京塚さんの言葉が重なり

俺達はわちゃわちゃし出す

これだと拉致があかない、と思ってると

莇さんの方から話を切り出してくれた


「そういえば先生から聞きましたわ。椿さんはカンナと仲良くなりたいと♪」


「え?あ、そうそう、皀さんってほら、二重人格って言われてるから二つの人格とも仲良くなりたいなって」


「みゅ?もしかしてナイフ持ったときのこと?」


皀さんはそう言うと腰につけてたナイフを持ち出す

え、それってやばいんじゃ、と思ってると

俺の頬近くをナイフが横切った


「おや、あんたはさっきのやつじゃない?あたいの餌食になりたくてわざわざ来てくれたんだね♪」


「違うますわカンナ。とりあえず落ち着いてくださいまし」


莇さんがなんとか皀さんを煽て

皀さんは物足りないみたいな顔をして座り込む

良かった、莇さんの前だと素直に収まってくれるみたいだ


「んで?あたいに何の用?殺す時以外呼ぶなって言ったろ?」


「どうやらこのお二方、というかクラスの子には馴染んで欲しいみたいですよ?」


「嫌だね、あたいは味方敵関係なく殺せれば問題ないからね」


「そう言わないでよ皀さん。あなたのその力は絶対戦力になるから!」


俺がそう言うと明らかに態度を変えてきた


「ふ、ふーん?あんたがそこまで言うなら、別に殺さないでおいてあげるよ」


こちらとしては嬉しい申し出だが

なんで急に態度激変したんだ?と思ってると

莇さんが耳打ちで褒められると弱い、と教えてくれた


「ありがとう皀さん!これからもよろしくね!」


「仲良くなるつもりなんてない!手を離して下ししゃい!みゅぅ〜」


途中から人格が変わったように見えたが

とりあえずこの様子だと大丈夫みたいだ

さて、明日は作戦会議だったか?何するんだろう・・・・






皀 カンナ 15歳 誕生日 6月12日

身長153 髪ハーフアップの赤色

体術タイプ(主に武器を使った攻撃が得意)


頭さえ良く回れば莇菫をも上回るトップクラスの実力者

左手には包丁型のナイフをいつも持っていて

右手にはペンギンのぬいぐるみを持っている

かなりの戦闘好きで血を見ると興奮する病み気味の少女

ナイフをしまうとただのシャイガールになるので

他の人達は相手するのにタジタジ

寮では幼稚園からの幼馴染の菫と一緒の部屋

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