第3話 この女子校には男の娘がいる?

あまりの出来事に俺はつい叫びそうになった

こいつが男?いや完全に女にしか見えない

声も女、姿も女、髪は卵色で肩にギリギリかからないくらい

これが男とかありえない。というか男ならここにいる理由が・・・・


「馬鹿を言うな京塚。お前は戸籍上もどこから見ても女だぞ」


担任の先生が出席簿で頭を軽く叩く

京塚さんは頬を膨らませて座った

結局なんだったんだあの人・・・・と思い見ていると

俺と目が合い、小さく手を振ってくれた

可愛らしい笑顔に俺はドキッとして目線をそらす

やっぱりあの子が男なんてあるわけない

そう思ってると担任が出席簿で叩いてきた

あぁ、俺の番か。俺は美和子からもらった声が変わる薬を使って自己紹介する


「えっと、六道椿です。よろしくお願いします」


さすが美和子の薬。本当に女の子みたいな声が出た

担任は満足した顔をすると次、と促す

そのまま時は進み、ようやく放課後になった

色々な説明があり、ごちゃごちゃになりながら教室を出ると

後ろから誰かに引っ張られる

振り向くと京塚さんが立っていた


「あ。えと、京塚さん、だっけ。そういえばハンカチ拾ったお礼、まだだったよね。ありがとう」


「どういたしまして〜君たしか寮でしょ?僕も一緒に行っていい?」


「うん、私が拒否する理由はないから。大丈夫だよ」


やばいやばいやばい!俺そういえば女とまともに話したこと無い!

こんな可愛い子と一緒にいれるなんてやっぱ女子校最高!

と、思ってると早速寮についてしまった

渡された書類の中にあった地図を見て部屋を探す


「あれ?椿さん6号室なんだ。僕と一緒だね」


6号室と書かれた部屋に入ろうとするなり

京塚さんはそんなことを言い出した


「えぇ!?京塚さんこの部屋なの!?」


「うん。そだよー?良かった〜初めての知り合いがルームメイトで」


ま、まさかルームメイトがこの人だなんて!

いたせりつくせり!ではあるが・・・・

同時に一番俺が男と気づくのが一番高い

いっそのことバラして隠してもらうか?

うーーーーーーーーん


「ねえ椿さん?入らないの?おーーい」


「え?あ、うん。今はいるよ」


部屋は意外と広くて、二人部屋にしては十分すぎる

俺が部屋の広さに感心していると

ゴソゴソと隣から何か音がするので見てみると

なんと京塚さんは制服を脱ごうとしてるのだ


「ちょちょちょ待って待って!何してるの!?」


「え?何してるのって服を着替えようとしてるんだよ?別に女の子同士だからいいでしょ。椿さんも着替えなよ」


そう言って京塚さんは制服を脱ぎ捨てる

女子高生の肌着なんて初めて見るから俺は思わずトイレに入る

や、やばいぞこれ・・・・普通にキツイ・・・・

なんで二人部屋にしたんだよ美和子ーーー!

俺はようやく気持ちを落ち着かせてトイレから出ると

何故か京塚さんは俺のケータイを持っていた


「き、京塚さん?何してるの?」


「いやーメールアドレス交換しようとしたんだけど、この人誰?」


俺のケータイのロック画面には

俺と父上が写っていた

昔に父上と写真を撮った唯一の写真だ


「それ俺と俺のお父様だけど、それがどうかした?」


俺は、何故ここで気を緩めてしまったのだろう

ここで男として写ってる昔の自分を

俺と言ってしまったのか


「え?これ椿さんなの?」




六道 椿 男(女装してる) 15歳 誕生日9月3日

身長164センチ 顔は童顔

髪 黒(カツラも黒で肩甲骨まである)

体術タイプ(主に近距離打撃を得意とする)


旧姓や身元など何もわからないまま一人になった

戦争で助かった数少ない一人

元々顔だけ幼く、女装すると本当に女になる

男らしい口調をしているが理想が高く

今まで女と喋ったことはないと言う

約二年間美和子に匿ってもらい

戦争で生き抜いたとバレないように名字を美和子と一緒にする

昔から父の教えで体術を習い、身体能力は高い

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