第105話

 一年五組の教室では現在、撮影会が行われていた。

 被写体はもちろんこの人。


「……なんで俺、写真撮られまくってんだ?」


「……ははっ」


「和之てめぇ、何乾いた笑い浮かべてやがるっ!」


「ちょっと、写真撮ってるんだから動かないで!」


「この意味わかんねぇ状況に対してはなんも言うことねぇのか!?」


「無いわよ!そのセリフはあの三人に言いなさい!」


 王小路、疲れた表情である一点を指さす。叶恵がそちらを向けば、


「叶恵さん!こっちを!こっちを向いてください!」


「あ、向いた!笑顔お願いします!」


「お兄が可愛い……へへへへへ……」


「………………………………助けて王小路」


「キャラ変わってるわよ。助けるわけないじゃない。甘んじて売上貢献に務めなさい」


「字が違うよなぁ!?」


「あら、なんのことかしら?」


「しらばっくれるなよてめぇ……!」


 傍から見れば格上にあしらわれる主人公の図。立場的には間違ってはいないのが悲しいところか。何はともあれ、さっさとメイド服を脱げばいいだけの話を、わざわざそのままにしているのが馬鹿なのである。

 ついでに売上貢献につとめるとは勤めると書く、多分。


「ふっ、でもさっさと脱がない辺り、満更でもないってことじゃないかしら?」


「何を勝ち誇ったように言ってんだ?このよぉ」


 ピキリと、王小路の額に青筋がひとつ。


「へぇ、言ってくれるじゃない、が」


 ビキリと、おっと叶恵こちらにも青筋がひとつ額に浮かび上がる。


 すわ、喧嘩か!?と思うかもしれないが、今回は……


「はいストップね」


「お嬢、それくらいにしとけ。キリねぇから」


「お兄、ステイ!」


「俺は犬か!?」


「夢乃さんも、程々にしましょう?悪口なんて言っても仕方無いですよ?」


「説得力の塊っ!?」


 和之に宏敏、叶波に春来。

 抑止力(一名を除く)の集団である。

 尚、井藤と氷雨はまた始まったかと、半ば漫才を見る気分であった為か、止まったことに若干落胆気味。

 この後王小路と叶恵に説教されるも「「夫婦漫才お疲れ様」」と言ったところ、更に二人がブチ切れたことは、必要ないけど明記しておく。だって面白いし。


「なんか不名誉なこと言われたがするんだけど」


「気の所為よ。気にしたら負け」


「そっかー」


 その割にはやたらと虚空こっち睨んでますねぇ氷雨さん。怖いですからやめて。クール系美少女の虫を見るような目はシャレにならない。


 ……奈倉なら喜ぶか。今はどうでもいい話です。


 ゴホンッ!失礼しました。


 というわけで現在、一年五組は叶恵の写真が取られまくってるわけで。

 当然その中には部外者の方もいて。

 更にはその中に母校の学園祭に参加してみたとかやってる某動画サイトの投稿者さんがいて。


 ───密かにネット上で叶恵が伝説になったり……


 は、しません。

 さすがにないです。最後以外は事実でも、一時期の話題をかっさらっていくだけで、その投稿者さんもTPOを弁えた大人。

 ちゃんと目には棒が入ってます。

 なぜモザイクでは無いかって?


 以下本人談


「あの顔をネットでしっかりと公表できないことが心の底から辛い。つーかあのクラス顔面偏差値高すぎる。どこのラノベだよ。あと、あのメイドさん男子ってマジ?BL目覚めかけたんだがどうしてくれる」


 知りません。


 *


「……なぜいる」


「そこに平花がいるからだ」


「……止めくれないか。俺が迷惑を被っていることはわかっているだろう?」


「断る。君が自らを認めないと宣う限り、私は君を肯定しよう。君が自らを認めた時、私はこの感情を真に君にぶつけよう。それまでの過程で私が君にぶつけた感情の欠片を理解してくれないならば、信じようとしないのであれば、私は潔く身を引こう」


「……何故そこまで」


「言ったろう?君は私のヒーローであり、私が隣に立ちたいと思うものだ。妻が夫を支えることの何がおかしい?」


「……色々言いたいことはあるが、理解はした。ならば言おう。俺は貴女を理解しない。暗澹とした現実に強力な太陽は必要ないのだから。俺は貴女を欲しない。灯火があればいいのだから。これ以上言うことは無い。今後は近づかないでくれ」


「……ふふっ」


「……何がおかしい」


「いや、わかった。ならば私は。何、気にすることではない。美人な先輩が後輩に絡みに来るだけ、とでも思えばいい。そこまで煩くはしないとも誓おう」


「……勝手にすればいい」


「ふむ、言質は取ったぞ?」


「……ボイスレコーダーか。態々そこまでするか」


「気にしなくていいと言ったぞ?安心するといい。私はこれを自分に使うだけだからな」


「……ん!?おい、今」


「では今日はここで引こう。、だ」


「………………っ」


「………………………(っはぁーーー、緊張した。やばいぞ心臓が、心臓がっ、早鐘を打ちすぎている。よもや平花にまで聞こえたりはしていないだろうな。だとすれば私はただ誤魔化しまくっていただけの痛い女なのだが!?一体どうしろと言うのだ!仕方ないだろう!?五年越しの再会で、ようやく会えたと思えばやたらと格好良くなってるし、そのくせして話し方とか、雰囲気とかは何ひとつとして変わっていない。言っちゃあアレだが、理想がそのまま飛び出して来たようにしか感じない!やばい、顔が熱い!誰かに見られては不味い。どこか隠れる場所を)」


「あれ、戦場先輩?」


「っひゃあ!?」


「!!??」










 ≡≡≡≡≡≡≡

 ………………シリアスぶっ飛んだなぁ。久しぶりの投稿これでいいのかと思いながらあとがき書いてる卵ですはい。ネタの後にシリアスぶっ込んで挙句崩壊させるとか飛んだバカの所業ですねぇ。やらかした感が凄いです。


 いいぞもっとやれと思う方はコメントや応援、やめとけお前にはレベルが高いと思う方はコメントで批判、お待ちしております。卵自身はノリと勢いで書くのが楽しい脳死民なので書いた後に後悔して同じこと繰り返します。

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