第103話
短くてすいません……!
≡≡≡≡≡
「で、どう言う状況?」
「こういう状況」
「かくかくしかじかすら省かれりゃ理解できるもんでも理解できねぇよ!」
「じゃあ、かくかくしかじか」
「違う、そうじゃない!」
「戦場先輩が平花に猛アプローチ」
「それでよし!」
「良くないが!?」
初っ端から喧しい声が響く一年五組。
宏敏と優奈がひたすら食べ(させ合い)歩きをしている様を後ろからスマホ片手に尾行したり、呑気に歩いたりで手持ち無沙汰になって帰ってきた叶恵が和之から事情を聞いている最中である。
尚、春来は爆発直前のボム兵が如く真っ赤になって机に突っ伏している。
ついでにその春来を見て全員が正気に戻ったとか。さすがは聖女(他称)である。
「ふっ、落ち着くがいいご主人様よ。コーヒーでも飲んで一息つこうではないか」
「主な原因は貴様だが!?」
ついに貴様呼びになっちゃった平花である。
だが満更でもなさそうな表情である。無理やり怒ろうとしている感がありありなのである。
「ふむ、ではなんと呼べばいいのだ?旦那様とかか?」
『『『『『ぶっ!?』』』』』
ちょうど飲み物を飲んでいた皆様方、ドンマイ。ちょうどコーヒーに口つけた平花、ドンマイ。
「げほっ、ごほっ、っ!かはっ!」
本気でむせてらっしゃる。
「だ、大丈夫か!?」
すぐさま背中をさすり出す戦場。
メイド服の美少女が男子の背中をさする。
うん。
「あ、ふーん?」
「なにこれ、さっきまでの茶番?」
「愚問ってやつじゃね?」
「いやいやお前ら、今更だろもう」
「「「それもそうか」」」
「で、叶恵はこれを見てどう思う?」
「ツンデレご主人に仕える世話焼きメイドの図」
「ははは、流石」
「……唯ちゃん…………唯ちゃん?」
「ふわぁ……絵になるなぁ……はっ!描かねば!ここで描かねば私に生きる価値はない!」
「急にどうしたの!?」
全力で拍手しながらカオスが帰ってくる。
きっと顔があれば喜色満面であろう。
まぁ、件の二人の様子については叶恵がきっちりとわかりやすい例を出してくれたため、割愛とする。
*
「はへー、大変だったんだねお兄」
「もう疲れた残ってる連中なんぞ知らん俺は寝る」
「おやすみー」
「おやすみ」
さて、時間は飛んで午後十時。
色々濃すぎて疲れきった叶恵は星祭の時のように残ることはなく直帰。サッと夕食作って風呂に入り、歯を磨いてベッドにダイブである。
よって、他に語ることなし!……にはならないだろうが今は無し。
*
てな訳でこちらお泊まり組である。
本日女子は全員帰宅。男子ばかりの暑苦しい教室である。
さらに言ってしまえば、ある教室だけやけに煩かったりする。
一年五組である。
「てめー平花。何チキってやがる殺すぞ」
「平花、お前さ、お前さぁ……」
「平花……自分に正直になってもいいんじゃないの?」
「……貴様ら……っ!」
言われたい放題の平花氏。下手な反論は墓穴と見たか額に青筋浮かべての耐久戦である。
対する叶恵と平花を除く一年五組全男子、もちろん宏敏と和之も含む、まぁ、野次馬である。
詳しく言わない癖して煽りまくる非常にタチの悪い集団である。
「ほら、なんか言ってみ?友人のよしみだ。安くしとくぞ」
「いきなりなんの商売だ!?」
「冗談冗談。話聞きたいのは冗談じゃねぇけど」
「……語ることなど何も無い……」
「えぇ〜?本当に〜?なんの関わりもないのにあんな親密な雰囲気出せますぅ〜?無理ですよねぇ〜?」
ここで登場するは奈倉。最早顔からして鬱陶しい。自然と周りから人が減る。
「…………おまえ、それはちょっと」
「言い方キモくね?」
「人煽る時って誘導尋問みてぇなもんなのにな」
「唐草ぁ!?」
割合奈倉と喋っているイメージがある唐草。しかしながら最近は学校で姉と顔を合わせる機会が増えたせいか、良心を取り戻しつつあるのである。星祭の時に叶恵を覗きに誘ったとは思えない悟った顔つきである。
「…………」
さて、それを後目に立ち去ろうとする平花。忍び歩きに成功でもしたのだろうか実に静かに立ち去ろうとする。が、
「はい、ストップ」
「……くっ!」
流石は超人イケメン野郎。逃すかと腕を掴む。
その後もやかましく騒ぎ続けた男子一同。高野が見回りに来たために全員仲良くたんこぶができたことはいい思い出となるであろう。
……黙りきった平花の一人勝ちとも言えるが。
*
さて、現在十月十七日土曜日午前五時十分。
とある家の前に人影一つ。
その人物は、そっとインターホンに手を伸ばす。
≡≡≡≡≡
特に意味もなく思わせぶりな切り方しちゃってすみません。やりたかっただけなんです出来心なんですすいません。
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