第91話
短めです!
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九月十四日月曜日放課後、『木郷』。
「いらっしゃいませ……って、なんだお前らか」
「なんだとはなんだこの野郎」
「奈倉……最近お前大丈夫か?」
「唐草氏、もう手遅れかと思われ」
「聞こえてるぞ!?失礼だからな!?」
「店内ではお静かにお願い致します。んじゃ適当に空いてる席座ってくれ。水持ってくから」
「「「おいこの店員適当だな」」」
「ハモるタイミングおかしいだろ」
来店した奈倉、唐草、真金と学校終わってすぐにバイトに来た叶恵の会話である。
店員にあるまじき適当対応な叶恵だが、知り合いだし気にしたら負けだろこんなもんといった心情である。要はアウトである。
「伊吹乃くーん?」
厨房の辺りから楽しく冷たい声が聞こえる。
叶恵の肩が跳ねる。それを見て三人の肩も跳ねる……どこにつられてるんだ?
「な、なんすか……安姫先輩……」
「「「ん?」」」
やけに聞き覚えのある名前に凍りつく三人組。今更ながら平花どこ行ったって?
……今頃誰かに追っかけられてるんじゃないかなぁと……はい。
「仕事中は身内でも礼儀正しくね?」
「……はい」
「ふふっ、よろしい!」
じゃ、と敬礼っぽい何かをした安姫はそのまま厨房に引っ込む。
唐草が頭を抱えている。
「おーい、唐草氏ー?」
真金が下から覗き込めば悲壮な表情の唐草が……
「なんで最近行く先々で伊吹乃と姉ちゃんいるんだよ……意味わかんねぇからマジで……死ぬ……タチ悪ぃし、こうなったらあと一人もいるのが予想できちま」
カランカランと、店の扉が開く。
「いらっしゃいませ……あれ、春来?今日は王小路とかと一緒じゃあ……」
「……来ちゃいました……」
「「「…………」」」
流石に三人とも目が死ぬ。そして、その目は店の制服を着た見た目だけ男の娘な野郎の方を向く。
「……なんだよ」
「コロス」
「やめろ店で物騒なこと言うんじゃねぇ!」
騒がしくなったために四人揃って(叶恵は特に)怒られたことは言うまでもないことである。
*
「すいません……私が来たから、ですよね?」
初っ端から春来が謝っているが、春来は何も悪くない。
「いや、春来のせいじゃない。断言する。悪いのはあっちで安姫先輩に怒られてる三人組だからな。気にすんな」
店の奥では唐草、奈倉、真金の三人が正座。その目の前には仁王立ちの安姫。
「さて、君たち何か言うことはあるかな?」
笑顔で後ろに般若が見えるのはきっと気の所為ではない。もちろん某癖の強すぎる立ち方に定評がある方々の背後に出てくるあれではない。
幻覚である。が、
「「「すいませんでした……っ!」」」
目の前にいる三人組にそんなこと言っても無駄である。だって怖いし。
「次やったらしばらく出禁にするからね?」
「「「了解っす……」」」
綺麗にハモるものである。
「反省してるっぽいから今回はこれで終わり!さ、一番高いメニューでも頼んでいきなさい!」
「姉ちゃんそれはきつい……」
「何か言った?」
「…………買います」
「毎度〜」
哀れ唐草。勇気を出すも蛮勇だったらしい。
結局三人はその後店で一番高いメニュー(カツサンドセットデザート付き 千六百円税別)をこれから軽くなることが確定した財布を片手に涙目で「美味いなぁ」と言いながら食べたのであった。
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最近進まない……どうしよう……
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