夢魔族長リリア

「聞いてられねぇ! あんなの人の出す声じゃねえぞ。誰がヴァイスをあんなにしたんだ!」

「リリア様が動いとるよ。同じ夢魔族の仕業らしいで。シスターはんが言うにはベルファリアって言うサキュバスの両性具有種らしいで。

 ヴァイスちゃん、孤児院の子供を人質に取られてあんなにされたって言うてたわ」


 今日の朝から美咲が張型使ってヴァイスちゃんを慰めちょる。昨日は教会から転移で連れ帰って来たから僕がずっと相手してた。

 リリア様が言うには媚薬が切れればヴァイスちゃんやったら元に戻るやろって言うてたけど。


 連れ帰って来てから3日目の昼になって漸く喋れる様になった。それでも時折、背骨が折れるんちゃうかっつうほど仰け反ってる。

 4日目の朝になって落ち着きを取り戻し、今はぐっすりと眠っている。

 5日目の朝、ヴァイスちゃんはまだ目を覚まさへんかった。更に、ヴァイスちゃんは生理が始まっとった。同じ種族になったからわかる。任意で排卵出来るって事が……。

 同日、僕はリリア様から召集を受けた。




△▲△▲△▲△▲△▲△▲



 やっと見つける事が出来たわ。私の娘で遊んでくれたベルファリアっていう屑を!

 私の名前で魔国に呼び出したらすぐに面会に来たわ。自分が何をしたか全くわかってないのね。


「貴女が~、ベルファリアねぇ。最近~、ノーススプリングでぇ、オイタしてるらしいわねぇ。

 しかも先日~、同族に手を出したわねぇ。覚悟は出来てるかしらぁ」


 私の隣で成海が凄い殺気を出してるんだけど……。殺しちゃだめよ。


「リ、リリア様、お言葉ですが、あの者はハーフで……、オマケに完全な人族より……」

「ハーフじゃないわねぇ。ダンピールとサキュバスの間に産まれたクウォーターだわ~」


 あらあら、どうやら気付いたみたいね。顔色が無くなってるわよ。既に貴女の両親、血族は全員この世にはいないわよ。


「成海~、予定どおりにぃ。殺しちゃダメよ~」

「御意」


 成海はベルファリアの手足を切り落とし、直ぐ様、回復魔法を掛ける。


「リリア様の命令でな、お前を僕の眷属にしたるわ。不老不死になれんで、よかったなぁ」


 成海は予定通りに左人差し指の第一関節から指を切り落とし、ベルファリアの口に咥えさせた。

 ベルファリアが気を失うのを待って切り落とした指を拾い、くっ付けてから回復魔法を掛けている。


 これでベルファリアは達磨の状態で成海の眷属となり、不老不死となった。私はゆっくりとベルファリアに近付くと鳩尾に魔力封印の紋章と額に常時覚醒の紋章を刻み込んだ。それと同時にベルファリアを目を覚ました。


「数時間前にねぇ、数百年振りに旦那様にぃ抱かれたのよぉ。凄い気持ち良くてぇ、目茶苦茶感じちゃったのぉ。これは~、そのお裾分けよぉ」


 コップの中には白く濁った液体が並々と入っている。これは私が痙攣する程逝ききった時に出た愛液だ。

 これは唾液の数千倍の効果を持つ媚薬となり、一舐めで数ヶ月の継続効果がある。

 コイツはそれを知ってか知らずか目に涙を溜めて首を横に振っている。


「あらあらあら~、ロイヤルクイーンの~私からの施しを拒否するのかしらぁ。仕方ないわぁ、成海~、注射器用意してくれるかしらぁ。心臓に直接~打ちましょう」

「お願い……します。ゆ、許し……てくだ……さい」

「あらあらあらあら~、何を言ってるのかしらぁ。お前に拒否権など無い! 一生オークキングの玩具になるのよ!

 でもでも~、貴女は~、不老不死になったからぁ、永遠になるのかしらぁ?」


 間延び無い私の口調に怯えたのか、観念したのか動かなくなった。

 準備を終えた成海が嬉々として心臓に、局部に、そして、眼球の奥へと注射を打ち込んでいた。

 私も娘をあんなにされて大概立腹していたが、成海も宗主をあんなにされたことに我慢出来なかったみたいね。脳に直接なんて、正直私でも引くほど鬼畜だわ。

 これじゃあ、オークキングのいる集落に送り込む前に廃人になっちゃうんじゃない?


 私の旦那も怒りが頂点に達してたみたいたっだし、この世から悪魔族が無くならなければ良いのだけど……。

 それにしても、エルフ族のエリスがあんな所にいたなんてねぇ……。そんな事よりヴァちゃんに会いに行かなくちゃ。成海の話しだと回復してるみたいだし。



 ヴァちゃんは普通に眠っていた。まぁ、私達夢魔族に貞操観念ってないけど、あれは酷かったわ。

 成海の話しだと夢魔族の唾液とオークジェネラルの精子でダブルの媚薬がヴァちゃんに与えられたみたいだけど……。

 今回の事で旦那側の人族の血が濃く引いている事がよくわかったわ。


「リリア様、どうしてここに?」


 本当に懐かしい声ね。此方に向かってきていたのはわかっていたけど、それでも昔と全く変わっていない姿に驚きしかないわね。

 かと言う私も全く変わっていないと思うけど。


「あらあら~、昔みたいにリリって呼んでくれないのかしらぁ? でも~本当にぃ久しぶりねぇ、いつ以来かしらぁ」

「私がリリの侍女を辞めた時だから2000年振り位かしらね。でも本当にどうして此処に? もしかして、リリが直接ヴァイスさんに謝りに来たの?」

「違うわよ~、ヴァちゃんは~、私の娘よぉ」


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