マジックボックスの中の整理ですぅ

 タートルさんの案内で部屋へとやって来ました。1人1部屋の様です。

 どうせ成海さんは私のベッドに潜り込んでくるし、美咲さん達もどちらかの部屋に固まるでしょう。


「タートルさ~ん、2部屋だけで良いですよぅ」

「左様でございますか。では、此方の2部屋をお使いくださいませ。

 何かご用が御座いましたら遠慮なくお申し付けくださいませ」


 美咲さんが口をパクパクさせています。


「だ、男女別ですか?」

「何言うてんねん。僕とヴァイスちゃん、佑介と美咲に決まっとるやろ。そやろ、ヴァイスちゃん」

「そうだよぉ」


 佑介さんまで態度がぎこちなくなっています。


「お、おう。まさかヴァイスにやられるとは思ってなかった……」


 ふふ~ん、追い討ちを掛けましょう。


「別にぃ、私と佑介さん、成海さんと美咲さんでも良いですよぉ」

「ダ、ダメです! 何を言ってるのですか?」

「あれぇ? 何でダメなんでしょうねぇ?」

「えっ、だから……あの、結婚前の女の子が……」


 あれ? 美咲さんが返事しちゃいましたよ。これは予想外です。

 これはヤバそうです。私はこの辺で終わりましょう。隣の成海さんはニヤニヤしています。

 これは絶対に被せて来ますね。私はこっそりと部屋の中に入っておきます。


「そやったら、美咲もそうやろ? ほな、こうしょうや。ボインチームとペッタンっこチームで分けよか?」


 成海さん、ナイスファイトです。でも成海さんにここまで自殺願望があったとは思いませんでした。予想の斜め上を言ってますよ、そのセリフ。

 扉越しにも真っ黒なオーラが感じられます。成海さんって意外とドMなのかもしれませんね。それも命を掛けたドMですね。


「ちょ、ヴァイスちゃ……、あれ、おらへん。裏切られた~!」


 聞えが悪いです! 私は自己防衛したに過ぎません。アーメン。




「美咲のヤツ、本気で殺しにきおったわ。メチャヤバやったわ」

「当たり前ですよぉ。被せ方がおかしいですよぉ」


 あの時、私は部屋の中に退避してましたが、廊下で爆発音が聞こえましたもん。

 美咲さんも領主邸で攻撃魔法を唱えるのはどうかと思いますよ?


「よくキャロルおね~ちゃんが文句言って来なかったですよぉ。さっき見たらぁ、廊下の絨毯焦げてましたよぉ」

「あの乳牛やったら、今頃ヴァイスちゃんの水着をクンカクンカしとるやろ。狙い通りや!

 大事の前の小事、身を斬らして骨を断つや」


 あ~、それでですか。成海さんが私のスリングショットに興味を示さなかったのは。

 成海さんでしたら何らかの興味を示すと思っていたのに……、理由がわかりました。


「でな、ヴァイスちゃん。ヴァイスちゃんのマジックボックスの中、何入ってんや? 何や途轍も無いもん入ってないか?」


 ん~、そう言えば何が入ってるのでしょうか? この指輪は魔国学園の入学祝いにママから貰ったものです。それ以来、整理もせずにほぼ入れるだけでしたからね。

 学園から学院に掛けての20年間に男の子から色々貰いましたから、未だに封の開けていない物もあると思います。


「わかんないですぅ。1回出してみましょうかぁ」

「何や怖いわぁ。絶対何かあるやろ。ちょい待ち、佑介等も呼ぼか」


 成海さんは部屋から出て行きます。ドアは開けっ放しです。佑介さん達の部屋は向かい側ですから別に構いませんが。


「美咲~、佑介、合体してたらごめんやで」


 はぁ~、ドアをノックした気配がありません。多分いきなり開けていますね。

 これは美咲さんの怒った声が……、聞こえてきませんね?


「失礼しました」


 ガチャリとゆっくりとドアを閉めた音が聞こえます。成海さんから初めて丁寧な言葉遣いを聞きました。

 成海さんは部屋に入ってドアを閉めると私に駆け寄ってきます。


「美咲が上やったわ。ドア開けたら目、合ってしもた」


 成海さんが小声で話し掛けて来ます。それはキツいですね。


 うちの眷属がご迷惑お掛け致しました。上司責任で心……の中で謝っておきます。でも、時間的に早いですよね。私も想定外でした。





「成海、本気で勘弁してくれ! メチャ気まずいわ」

「いや、時間的にまだやろって思てたんや。ホンマ堪忍や」


 私も同意します。美咲さんはベッドから出てこないみたいです。

 してしまった事は仕方ありません。成海さんには明日死んで貰う事で許して貰いましょう。




 取り敢えず、3人で私のマジックボックスの中を調べていきます。


 男の子達に貰った贈り物が箱に入ったまま30個

 トップス5着

 ビスチェ2着

 ショーツ多数

 ガーターストッキング多数

 ショートパンツ3着

 ハイヒール8足

 ロングブーツ5足

 バニースーツ1着

 チャイナスーツ3着

 お鍋とおたまが各1個づつ

 サキュバスの戦闘服1着

 ビキニアーマー3着

 禍々しい盾1つ

 宝石が散りばめられた剣1本

 ウェディングドレス1着

 ティアラ等の貴金属数百点

 30点以下のテスト用紙48枚(0点多数あり)

 怪しい液体が入った瓶2本セット1組

 地図1枚

 どう見てもゴミ多数

 等々……。


 成海さんが封の開けていない箱を開けています。

 なかには箱を開けるとそうっと閉めている箱もありました。一体何が入っていたのでしょう?

 

「ヴァイスってバカだったんだな」


 佑介さんはテスト用紙を見てニヤニヤしています。早い時間から合体していた人にニヤニヤされたくありません!


「ヴァイスちゃん、一応これ全部ヴァイスちゃんのもんやけど、この箱等は永遠にマジックボックスに入れといてな。こんなもん、世の中に出たらあかん!

 それに簡単に別けた貴金属やけど、こっちは売りたかったら売ってもエエけど1個づつな。

 これ等は1億ルーブル以上するヤツさかいなおしとき。

 ゴミは捨てよな?」


 はい、すみません。

 

「この盾と剣は永遠にボックス行き! この瓶も出来れば地中深くに埋めて欲しいけど……。

 なあ、成海。オリハルコンで出来た鍋とおたまで何作る? ってか、オリハルコンは熱通さないのに鍋にしてどうする?

 それとな、男が居てるんだから下着類は片付けろ、な。ただ安心したわ。下着は一般的な値段で……」


 鍋って確かママがくれたんだっけ? 昔の記憶を辿っていると、美咲さんがちゃんと服を着て現れました。

 目の前にいるのに気配がしません。めちゃめちゃ怖いです。あり得ませんがチビりそうです。



「成海、今から広~い草原に一緒に散歩に行かないかしら? 拒否権なしで!」


 御愁傷様です。貴女の事は忘れません。安らかにお眠り下さい。


「ヴァイスちゃ……、助け……」


 いってらっしゃ~い。私は手を振って見送りました。美咲さんも転移魔法使えたんですね。


 深夜遅く、成海さんは全裸で私のベッドに転移で帰って来ました。


「僕3回ほど死んだで。凍らされて焼かれて、粉々に砕かれたて……。マジックウェポンやったローブも意味なさへんかった。

 ホンマ、ヴァイスちゃんの眷属なっててよかったわ」


 私も美咲さんが帰ってきてから目を合わしていませんよ。何かとばっちり来そうですもん。


 触らぬ神に祟りなしです。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る