96G・86E・82D・77A

「♪おふろぉ、おふろぉ、皆でおふろぉ♪」




 成海さんとキャロルおね~ちゃんが睨みあってた時に執事のタートルさんが私にお風呂を勧めてくれました。


「ヴァイス様もお連れの皆様もお疲れでしょう。夕食の時間までまだ少し掛かりますから、先にお風呂になさいませんか?」


 まだ泊めて欲しいって言ってないのにタートルさんは泊まりを前提に話しを進めてくれています。


「そうね、ヴァちゃん、久しぶりに一緒入りましょう」

「何言うてんねん! ヴァイスちゃんは僕と一緒に入るんや」

「成海さんもぉ、キャロルおね~ちゃんも喧嘩しないのぉ。皆で一緒に入ろぅ」

「私を巻き込まないでよ」

「俺も?」


 美咲さんの裏拳が綺麗に佑介さんのこめかみに決まりました。

 佑介さんのこめかみにから煙が上がっています。生きているのでしょうか?




「何で私がこんな猿と……」

「誰が猿やねん! 失礼なやっちゃな! 乳牛は牛舎に帰りや」

「誰が乳牛よ!」

「ただ単にでかいだけの乳ぶら下げとるだけやんか。美咲を見習ったらどやねん」


 退避準備完了、成海さん、ご冥福を祈ります。


「どうやって見習うのよ、あんなつるペッタン」


 総員退避、退避です! 黒いオーラがお風呂場を包んでいます。


「2人とも……、辞世の句は詠み終えたかしら? ヴァイスも逃げちゃダメよ」


 どうしてですか? 今回は私は何も言ってませんし、考えてもないです。完全にとばっちりです。流れ弾全弾命中です。

 風呂場の入り口を塞ぐように美咲さんが仁王立ちで此方を睨みなが両手の指を鳴らしています。

 美咲さんって賢者ですよね? 武闘家じゃないですよね。


「ちょう待ってえな、美咲……」

「い、いや、その……、ソナタのスラッとした……」

「2人とも黙って! 其処に3人とも正座!」

「「「はい!」」」


 何で私も正座なんですか? 勢いで返事しちゃったじゃないですか。

 全裸の女性が3人、風呂場で正座でしていて、全裸の女性がその前を往復している。なんてシュールな場面なんでしょう。


「この脂肪の塊が何だって言うんですか?」


 美咲さんはキャロルおね~ちゃん、成海さん、私の順におっぱいを叩いていきます。

 あれっ? 掌を見つめています。そして自分の胸の前に手を持っていきました。胸の前で手を左右に振っています。


「……当たりません。不公平です。少しづつで良いので分けてください。分けてくれなければもぎ取ります!」


 泣きながら無理難題を叩き付けないで下さい。

 

 湯槽に4人で入っています。美咲さんは落ち込んでいます。気まずい空気が流れています。


「……そんなに落ち込まんでもいいやん。佑介はそれでええって言うてくれたんやろ?」


 えっ、成海さん、それ初耳です。もっと詳しくです。


「あのシーフの男の事か? 出来た男だな」


 キャロルおね~ちゃん、その言葉はグレーゾーンですよ。取りようによってはヤバいですよ。


「不特定多数の男が大きい胸を好もうが、本命の男がソナタを選んだのであれば、それで良いではないか。

 胸が大きくとも本命に振り向いてもらわなければ、それこそソナタがさっき言っておった、ただの脂肪の塊に過ぎん」


 おぉ、キャロルおね~ちゃん、ナイスフォローです。グッジョブです。……使い方あってますよね?


 この後私達は、背中を洗いあったり楽しくお風呂に入っていました。

 しかし、お風呂場から出て脱衣場に一番に出た美咲さんが固まっていました。


「やっぱり不公平です。何なんですかこれは! 私の頭が入りそうです」


 キャロルおね~ちゃんのブラを手に取り何か言ってます。


「と、言うことはソナタの頭はGカップだな」

「……G、A……B……C……7番目……。賢者命令です。2つ分分けなさい!」


 また無理難題を……。何なんですか? その賢者命令って?


「領主命令じゃ! 諦めろ!」

「勇者命令や、無理言うたらあかん!」


 私がオチですか? 無理です。何も思い浮かびません。


「………あんパン2つあげるですぅ」

「詰め物は要りません。本物を下さ~い」


 美咲さんの心の叫びが領主邸に木霊しました。

 てか、キャロルおね~ちゃんって領主だったんですね。




 

 夕食が始まり、暫くは真面目な話しが続いていました。転移魔法の謝罪とこの街に滞在する事の許可の話しを佑介さんが主となり話しています。

 キャロルおね~ちゃんは滞在中はこの屋敷を使えば良いと勧めて来ましたが、成海さんの喧嘩腰の猛反対と佑介さんの常識的な意見でそれはなくなりました。


「ならば、此方で屋敷を用意しよう。ソナタ等の意図を汲み取り、代金は払って貰う。それで良いだろう?

 代金は60000000ルーブルと言ったところかの」

「結構するな。払えない事はないが……う~ん」


 キャロルおね~ちゃんが提示した金額に佑介さんが悩んでいます。

 あっ、そうです。そう言えばこの前来た時にキャロルおね~ちゃんが欲しがっていた物がありました。


「キャロルおね~ちゃん、この前言ってたぁ、私が前に使ってたぁスリングショット幾らで買ってくれますかぁ?」

「1億ルーブル出そう」


 即答ですね。屋敷を貰ってまだお釣りが来ますね。


「じゃぁ、屋敷と交換で良いですよぉ」

「商談成立だ! 出来れば私にそれを渡す前にヴァちゃんがもう一度着てはくれんか? もう1件屋敷を付けるぞ」


 普通の家なら2軒あっても良いかもしれませんが、屋敷は2軒も要らないですね。


「ヴァイスさんは良いの? そのスリングショットって何かわかんないけど服? それ売っても良いの?」

「うん、別に良いよぉ。学生の時以来全然着てないしぃ、貰い物だからぁ」


 だって水泳なんて学生の時ぐらいしかしないもん。

 私はマジックボックスからスリングショットを取り出しました。


「この服だょぉ。キャスバスの正装でもあるけど~、学生時代の水着にしか使ってないよぉ」

「しらっと服を脱いで着替えないの! 佑介、回れ右!」

「ヴァちゃんの生着替え……」


 キャロルおね~ちゃん、鼻血が出てますよ。さっきお風呂で裸見てるじゃないですか? どうして水着で興奮するんでしょうね。昔からそんなところがありましたよね、キャロルおね~ちゃんは。


「この水着に1億ルーブルかいな。出しすぎやね。

 正規の値段で50000000ルーブルやね。屋敷と交換やったらちょうどええんとちゃうか」


 意外と冷静な成海さんにビックリです!


 



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