ママとパパですぅ!

「美咲って鑑定魔法使えないんだよな」

「今更何を言ってるのですか。そんな事は佑介が良く知っているでしょう」

「そうだな。……美咲が羨ましいよ」

「ホンマ、それ同意するわ」


 美咲さんにサキュバスの戦闘服だと問題になるかもしれないからと言われて、マジックボックスに入っていた服に着替えて、リビングに来たのですか……。


「どうしてですか? ヴァイスさんの服装でしょう。少しエロさはありますが良く似合ってるじゃないですか」


 美咲さんに似合うって誉めて貰いました。嬉しいです。

 今私が着ているのはグレートクロコダイルの革で作られたノンショルダー型のビスチェ、その上にアネモネの糸から作られた肩出しフロントボタンのトップス。

 ビスチェと同じ素材のローライズのショートパンツにファントムスパイダーの糸が素材のガーターストッキングにシーフロッグの皮を張ったハイヒールです。

 装飾品にピンクダイヤのピアスとお揃いのネックレス、それと指に指輪型のマジックボックスです。


「一応説明しとくとな、ヴァイスのトップス、売値にして10000000ルーブル、その見せブラが12000000ルーブル、ショートパンツがトップスと同額、ストッキングとヒールで5000000ルーブル。

 ピアスとネックレスで500000000ルーブル、極めつけは指輪型のマジックボックス、容量無制限。値段がつかねえんだよ。

 何だよ、この動く国家予算は……。素材が洒落にならねえんだよ。

 今のヴァイスは王家主催のパーティー来た貴族令嬢100人分の衣装代より高価な服を着てるんだよ」


 美咲さんは私を見て目を見開いています。

 う~ん、佑介は私のこの服装にお金が掛かりすぎてると言ってるのですね。ただの普段着なんだけどな。


「なぁ、ヴァイスちゃん。答えたくなかったら答えんでもええけど、お父さんとお母さんの名前何て言うんや?」


 ん、何か話しが飛んだみたいですね。服の話しは終わったのでしょうか?


「教えるのに問題は無いですよぉ。パパはディアブロス、ママはリリアですぅ。

 魔国で行方不明になったので~、私は魔国から逃げて来ました~」


「…………ディアブロス、マジか」

「……リリアってあのリリアやかいな」


 あれっ? 成海さんも佑介さんも私の両親を知ってるみたいです。そんなに有名だったのでしょうか?

 美咲さんの顔色が凄く悪くなっています。


「2人とも、気付いてないの!」


 美咲さんが叫びました。

 えっ! 嘘でしょう……。


「何やこれ! アカン……、絶対無理やて」

「美咲、逃げろ! 時間を稼ぐ」

「どうやって時間を稼ぐのよ! こんなの無理に決まってるじゃない。……それに恥ずかしいけど動けないのよ」


 私の目の前で懐かしい魔力が収縮されていきます。

 部屋の景色が一瞬歪みます。その刹那、2人の男女が姿を現しました。


「ママ~、パパ~!」


 私は子供の様にママの胸に飛び込みました。気が付くと私はおもいっきり泣いていました。


「ごめんなさいねぇ、ヴァちゃん。魔国を混乱を収めるのに時間掛かっちゃたのよぉ」


 ママは私の頭を撫でながら私を抱き締めてくれています。パパは成海さん達を見て考え込んでいるみたいです。私はママから離れてパパの元に向かいます。


「パパ、紹介するね。その人達は……」

「知っている。あのバカを殺してくれた勇者達だろう。佐倉成海、樋口佑介、殿田美咲だな。

 ん、お前……、眷属を作ったのか? しかも勇者の佐倉成海か。……これは手間が省けたな」


 パパが私の頭の上に手を置きます。



「俺たちを……殺しに来たのか」


 佑介さん、何を言ってるんですか? パパは人族には絶対に手を出しませんよ。


「娘に何かあったなら殺していただろうな」


 成海さん? その歳でお漏らしはあり得ませんよ。何をしてるんですか。泣かなくても良いですよ。


「大体、想像ついたわぁ。大丈夫よぉ、娘の眷属に手なんか出さないから~。

 ふ~ん、でもでも、よ~く見たら結構可愛いじゃな~い。ヴァちゃん、この子貸してくれないかな~?」


 成海さんは私を見つめて大きく頭を横に振ります。

 ん~、ママのお願いだから貸そうかと思ったんだけどなぁ。成海さんが嫌がるなら断ろう。


「貸そ~かと思ったんだけどぉ、成海さんが嫌がってるみたいだからぁ、ダメですぅ。

 パパも成海さん達を苛めたら嫌いになるからねぇ」

「ん、お……そ、それは困るな。

 で、お前はどうするんだ? 魔国は一応落ち着いた。暫くは魔王不在にして俺とリリアが魔国を治めておく事にした。帰ってくるか? あまり気は進まんがコイツらと一緒でも構わないぞ」

「あなたぁ、そろそろ子離れしても良いのではありませんかぁ? それともぉ、私と2人きりが嫌になりましたかぁ」


 ママ、顔が怖いです。美咲さんまでお漏らししちゃいましたよ。あっ、気絶しています。


「まぁ、そう言うことだ。帰って来たくなったらいつでも帰ってきなさい。リリア行こうか」

「えぇ、あなた。ヴァちゃん、またねぇ」


 ママとパパは仲良く? 転移で帰っていきました。

 本当に良かったです。ママもパパも生きていました。帰れるお家もあります。

 でも今は成海さんや美咲さん達と一緒居たいです。


「し、死ぬかと思った。いっそ美咲みたいに気を失いたかったわ。ヴァイス、美咲と成海を風呂にいれてやってくれ。

 あれはこんなになっても仕方ないわ。俺も漏らし掛けた」



 


 今、女3人でお風呂に入っています。時間的に昼風呂ですね。

 お風呂に入ってるのは良いのですが少し鬱陶しいです。2人が私に抱き付いてきて離してくれません。


「ヴァイスちゃんが拒否ってくれやんかったら僕絶対に殺されとったわ。ヴァイスちゃんは命の恩人や」


 成海さんはそう言って私にキスをしてきます。唇を合わせるだけの軽いきすです。


「もぅ、私もいるのですから遠慮して下さい。ヴァイスさんがディアブロスを説得してくれなかったら多分あの魔力だけで殺されてたわ。

 今私が生きてるのヴァイスさんのお陰よ、ありがとう」


 う~ん、強ち間違ってないんだけど……、私が此処に居たからママもパパも来たわけで……。

 しかし、美咲さんが私の正面から抱きついてきて、成海さんが右側から抱きついてきてるのですが……。


「今回は許す」


 ……み、美咲さん、私は何を許されたのでしょうか? 

 私は美咲さんが一番怖いです!

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