眷属作っちゃいましたぁ~

「初代魔王が光魔グレゴリウスでしたが、その時は光属性魔法は効いた筈です。

 とは言え、光属性魔法には攻撃としてダメージを与えられる魔法はグランドクロスとファイルアタックの2つだけ。

 そこで光属性の持ち主でその2つの魔法を使用できる人間を召喚しようとしたのが勇者召喚の始まりですね。

 異世界からの召喚者は必ず光属性に適応しています。この世界では魔王が猛威を振るい始めると勇者を召喚するようになりました。

 今回は全員で30名が召喚され、15名が病気に掛かり死亡、私達3人が勇者パーティーに選ばれ残りの12名は好き勝手に城から出て行ったと聞いています」


 ファイナルアタックですか?

 それって自爆魔法ですよね。

 全魔力と全生命力をエネルギーに変換して大爆発を起こす。

 初代勇者がそれを使って、初代魔王を倒した。

 そのせいで、この世界の半分を更地にしてしまった。


 無くなった国は26ヵ国。


 それから数百年経っても復興した国は10ヵ国程度、未だに世界の4分の1は更地のまんまだ。




「ヴァイスちゃんは魔国で学院に行ってた?」

「はい~、一応私は貴族令嬢でしたからぁ」

「ほな、話しは早いわ。

 僕らはクラスごと召喚されんたんや。

 親が金持ちばかりの学院やった。

 親の威を盾に偉そうにするやつもおったけど、一応は学友やったと思うで。

 魔王を倒すまでは病気で死んだ15名の事は疑ごうてなかったんや。

 こっちの世界と体質が合わんかったんやなって思てた。

 そんな考えは佑介が王女の婚約者になった時までやった。

 僕らが魔王を討伐に行く前までは佐々木っちゅう奴が王女の恋人やったんや。

 まあまあ、イケメンやけど僕はイケ好かんかったけどな。

 魔王討伐に行く時は嫌味噛まされたけど元気やった。

 魔王討伐に掛かったんはたった2日や、城に帰った次の日に佐々木は病気で死んでしもた。

 ほんでいきなり佑介が婚約者や。佑介はな、僕らの世界でもこっちに来てからでも美咲の彼氏やったんや! 

 僕がよう知ってる。

 あの王女は佑介が嫌う女その物や。どう間違えても美咲を捨てて乗り換えること事のない女や!」


 ん~、最初は自分等の事を私に教えてくれてると思ったんですけど、ちょっと話しの流れがおかしくなりましたよ。

 勇者が目茶苦茶怒ってます。


 話しによると、佑介さんって人の様子がおかしいと思った勇者が城に忍び込んで佑介にあって話しを聞いたら、薬を盛られて意識が朦朧としたらしい。

 そして、その間に婚約が成立していたと。


 勇者達にはあらゆる状態異常無効のアクセサリーが国から与えられてるらしい。


 勇者はイヤリング

 賢者は指輪

 そして、シーフの佑介さんはペンダントらしい。


 それがあったにも関わらず意識を飛ばされ掛ける程の薬を使って王女は佑介を傀儡化したらしい。

 今は何の為にそんな事をしたのか佑介が傀儡化しているように見せ掛けて調査していると言うことだ。

 病気で死んだとされている学友達は実は殺されたのではないかと疑っているとも。


 更に城から出て行った内の見付け出した3人は全員、勇者達の事を忘れて娼館や奴隷市場で奴隷として売られていたらしい。

 勇者達の世界で勇者達をバカにしかしていなかった人達ばかりだったので助ける事はしなかったらしいが……。



「成海はあんな事言ってたけど、佑介は私の彼氏じゃないんだからね」


 なんて言いながら賢者は私を部屋に案内してくれた。客室だろうか? 少し大きめのベッドとソファーセットが置かれてあった。

 

 ───賢者さん、別に彼氏じゃなかったらわざわざ私に弁明しなくても良いんですよ。

 弁明する事によって、それを肯定してるってわかってます?


 沈着冷静なイメージだったけど、意外な面見せて貰いました。


 ベッドにポフッと飛び込みます。

 ふわふわのベッドはいつぶりでしょうか。

 私は衣類に魔力を流して一気に脱ぎ去ります。


 私は光魔グレゴリウスと言う事ですが、今までキャスバスとして生きていたのです。

 寝るときは裸だとママに教わっていました。


 灯りを消してベッドに入ります。

 暫くするとドアが開いて誰かが部屋に入って来ました。


「誰ですかぁ」


 私は入ってきた人に話し掛けます。


「何やまだ起きてたんかいな。ヴァイスちゃん、夜這いに来たで」


 入ってきたのは勇者でした。

 マジですか?

 マジガールズラヴするんですか?


 勇者はいきなりベッドの中に入ってくると私に抱きついて来ます。

 見ていませんが、感触で勇者は全裸だとわかりました。


 先程説明しましたが、私も全裸です。


「何や嬉しいわぁ、裸になって待ってくれてたんかいな」


 いえいえ、待ってません。

 裸で寝るのは私の当たり前ですから。

 そんな事を考えていると唇に柔らかい物が当たりました。


 勇者の唇です。


 何の躊躇いもなく勇者の舌が私の口の中を蹂躙していきます。


 マジ夜這いです!

 しかもかなりの上級者です!

 戸惑いながらも助けてくれた恩もあるので、私は勇者に身を委ねました。


「痛っ!」

「えっ、堪忍や。ヴァイスちゃん、初めてやったんか?」


 勇者はいきなり私から離れました。


「初めてやったんやったら最初に教えてぁやぁ。

 ほな、めっちゃ優しいしたのに」


 そう言って勇者は私の股間に顔を埋めてきました。


 勇者の舌が太腿を這っています。次第に中心部に向かっているのがわかります。


 ───あっ!


 気付いた時には手遅れでした。

 勇者は私の彼処から流れた血を嘗めてしまったのです。


「何や! 体が熱うなってきた……、あかん、これヤバいやつや! 意識……飛ぶ……やん……」


 勇者は気を失いました。


 ───やってしまいました。私は人1人の運命を変えてしまったのです。


 しかし、やってしまった事はどうしようもありません。

 私は勇者をベッドにちゃんと寝せて、私も隣で目を閉じました。



「ん、ん~」


 勇者がベッドの中で伸びをしました。私はそれで目が覚めます。


「おはよ~ございますぅ。

 昨日はごめんなさいですぅ。言うの忘れてましたぁ」

「ん、おはよぅやで。

 言うの忘れてったって、ヴァイスちゃんが初めてやったことか?

 それやったら僕の方が悪かったんや。最初に聞かへんかったんやから。

 最初からヴァイスちゃんは経験者って思い込んでしもうた。ホンマ堪忍な。

 そやけど昨日は……途中で体が熱うなって……」


 勇者は昨日の夜の事を思いだそうしているのでしょう。

 でも、無理です。あの瞬間の事は思い出しません。

 思い出せないのです。


「勇者さんは私の血を飲んでしまたっんですぅ。

 私の血を飲むと言う事は~、私の眷属になることを意味するんですよねぇ。

 勇者さんの種族、多分変わってると思いますぅ」

「えっ!?

 ……ホンマや。

 種族が光魔グレゴリウスになっとる。

 不老不死やん。

 宗主ヴァイスちゃんになってるでぇ」


 何だか勇者は喜んでるみたいです。

 喜んでくれてるなら良いのかな?


「ちょ、美咲に言うてくるわ」


 そう言って勇者は部屋から飛び出て行きました。





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