七話
秋人は無事に下山をする。家族たちは彼の放浪癖もわかっており、どちらかといえば美冬のことを心配していた。何かお礼でもと家族が用意しているものがあった。
「今度美冬とまた会うからそのときに」
と言って秋人は受け取り、自室に入る。そして事前に荷物を片付けてあったおかげでスムーズに旅立てる、新たな地で美冬と過ごすんだと……。
そしてスマホを開いて自宅に着いたと彼女に連絡をする。既読になったが返事は返ってこない。普段からそうだった、と秋人は気にもしなかった。
その後に友人の春彦から連絡がある。車を貸してくれる相手であり、美冬の同級生でもあった。改めていつ車を借りるかを連絡する。
美冬にもこの日の何時に山の麓で待つとメールを送った。
「わかったわ」
とようやく連絡が帰ってきた。
ふと蘇る、あの男を殴り殺したあの時のことを。雪が溶けたら登山客も増え、彼の親族が訪ねてあの家に誰もいないことに気づき大騒ぎになるだろう。
そして男の遺体も見つかってしまうだろう、でも大丈夫、大丈夫と秋人は自分にとって言い聞かせる。
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