二話

 結婚して5年目の冬。しんしんと降る雪の夜だった。そこに誰かがやってきた。この山に来るのは春から秋、自然折々を楽しむ山登りの人々。

 美冬と男、まれに配達や親族が来るくらいだ。

「誰だ」

 と男は最近他の山で噂になってる山荘荒らしのものかと警戒し、スキーステッキを片手にドアを開けた。


 しかしそこに立っていたのはすらっとした一人の男。

「秋人さんっ、こんな雪の中……」

 外は雪が強くなっていく。山岳の格好で、大きなザックを背負い、ネックウォーマー、耳当てもしているものの、頬を真っ赤にして立っていた。


「秋人くんか、冬に来るのは初めてだな」

「ええ、冬の山は不慣れですがなんとか来れました」

 秋人という男、美冬も男も知っているものであった。秋人は美冬の幼なじみで、昔から山登りが好きでこの山もよく来ていた。そして春から秋にかけて山登りをして自然に触れ合い、たまに美冬たちの元へ訪れていたのだ。

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