一話
美冬は地元から出たことがなく、結婚した相手も同じ街に住む男であった。
そして男の希望で同じ街から近い山に家を建て、そこに住んでいた。
不慣れで孤立した山の生活。美冬は男に見染められて結婚した。一方的な男の恋だった。美冬の意思を無視して。
男はこの山の所有者であり、この街の大金持ち。貧乏ではなかったが、自分たちにもおこぼれをと欲した美冬の親たちの後押しもあり、結婚話はトントンと進んでいった。
山は毎年冬になると長い期間雪が降る。それまでの期間は蓄えを備える日々、肉体労働、精神的苦痛、好きでない男に毎晩ご奉仕の日々。二人には子供はできなかった。たまに山から降りて親戚たちの宴に呼ばれるのだが、そのたびに子が出来ぬことを野次られる。それが苦痛で苦痛で仕方がなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます