なぜか現代であった
棚から落ちた空が
私の目には新しい
本来、空は誰がいなくてもそこにある景色で
棚は誰かが、とんかちでとんとん作らなければ
そして私がそれを思い付いたように買って、窓ぎわに置いたりしなければそこにないはずのものである
不思議なものだな
部屋の中で洋楽が鳴っていて
私はふと胡椒が切れたのを思い付いた
あれがなくては何もはかどらない
あのトースターの中で焼け焦げた
アルキルアミドの匂いが私に
めまいを与える
かたつむりに塩を与えるように
ああ、それはなめくじか
爽やかに生きるなめくじであれば
僕はこっちよりそっちがいい
過去と未來が交錯する日記の中で、
私は悲しい井戸に潜り
ただ潜り、もくもくと潜り
伝説の加湿器を手に入れた
日本空調サービスは
最後にのどを清潔にしてやり
そして訳の分からない歌を歌いながら
歌にならない歌を歌いながら
12時間、現代社会のめくるめく謎を
訴え続けてみた
という動画が急上昇したんご
疑うのは人間の仕事
仕事ではなく仕様
そういう風にできていて
だから鼻持ちならない連中と
連続して通りすがらねばならぬ
あ、またやってきた
あのパターンは厄介なんだよな
生体膜の内側で世紀のメンタリストが
誰のなかにもいて、ミトコンドリアと
同じ数だけいてますやん
なぜかここは現代で
やるきの無さそうな薄い空と
激しく男の禿げを気にする女が
俄然として騒がしく
また男はどうしようもなく
ケミカル不足でビタミン不足
大層不気味に、現代空間が
内蔵された魂をたまらず
愛してしまうのだ
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