なぜか竹藪であった

きりきりと回る車輪

動けなくなった俺を

緑とオレンジの枠線で囲まれた

人生へと呼び戻す


水溜まりには、葉っぱが一枚浮いていて

何だか可愛そうだった

いつか食べたみかんは歯に染みて

いつか頬を撫でた愛情は

腐り落ちてそれが

このおれだ俺だ

立ち上がることをやめた

爽やかな青年は

ぽうと遠くにあるだろう

竹藪に視線を投げ掛ける


歌にならなくたって

言葉にならなくたって

想いにならなくたって

心にならなくたって

べつによかった


じゃあ、何が届くんだろう

あほらしいね

遠くにある

思ったより遠くにある

緑とオレンジの輪郭は

私のいない世界で

輝いているだろうか


私は老いぼれた

竹藪を蹴りつけようとして

弾みで泣いていた

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