第8話 幼稚園時代の写真と手先が不器用(真一と優香編)
保健室を出た真一と優香は図書館に行くと閉まっていた。白木や村田たちは帰ったようだった。仕方なく真一と優香は2人で高校駅へ向かった。
最近は帰り道、飲み物を買って一緒に飲むのがルーティーンだった。真一は自動販売機でミルクティを2本買って、1本優香に渡す。
優香「ありがとう」
真一「はい」
優香「さっきな、くーちゃん(村田)らがしんちゃんが貸してる(幼稚園時代の)写真を見てたよ」
真一「そうかぁ。久しぶりに見て恥ずかしかったか?(笑)」
優香「3人ともマジマジと食い入るように見てたで」
真一「あ、そう」
優香「恥ずかしかったわ❗」
真一「オレかて一緒に写ってるんやから、立場は優香ちゃんと同じやで」
優香「もう…」
真一「ちゃんと許可を取り付けたやろ? 今頃文句言われても…」
優香「……」
真一「で、埋め合わせのケーキはいつするの?」
優香「土曜日」
真一「わかった。どこのケーキが食べたいの?」
優香「しんちゃんが知ってる美味しいとこのケーキ」
真一「オレ、ケーキ屋あんまり知らんぞ。確か、前に聞いたことある所があったから、調べとくわ」
優香「うん、お願いします」
翌朝、優香は村田・加藤・滝川といつものように登校する。
村田・加藤・滝川「おはよう」
優香「おはよう。昨日ははよ(早く)帰ったんやね」
村田「うん。ゆうちゃん、何時に帰った?」
優香「私は堀川くんが保健室で大川先生の手伝いしてたから、私も手伝ってて5時55分の電車で堀川くんと帰ったんや」
村田「そうかぁ。昨日な、白木くんたちも図書館におっちゃった(いた)でしょ。あの写真見たんや」
優香「えー❗ 男子にも見せたの?」
村田「みんなはゆうちゃんより堀川くんが見たかったみたいやで。男子もみんな2人って仲良しやなぁって…」
優香「困る~❗ アノ『手先が不器用』男め、覚えとけよ❗」
滝川「おー怖っ❗(笑)」
加藤「というか、ゆうちゃんからそんな言葉が出てくるなんてビックリやわ~」
一方、真一は坂本・白木・寺岡と一緒に登校していた。
白木「堀川、お前と加島の幼稚園の時の写真見たで」
真一「えっ? 見たん?」
坂本「2人揃ってかわいかったなぁ。おっちゃんにも、そんな頃があったんやな(笑)」
真一「いや、それはええねんけど、そもそもアノ写真、どこで見たん?」
白木「図書館で村田が見せてくれた」
真一「あっちゃ~…しまった❗」
白木「何か具合悪いことでもあるんか?」
真一「悪すぎるで❗」
坂本「なんや、具合悪いことって?」
真一「オレはかまへんけど、加島さんですわな…」
白木「加島がどうかした?」
真一「アノ人、ホンマは見せたくなかったけど、村田さんらが『見たい』って言うから、説得して了解を得て見せてんねん。許容範囲を越えてるから…腸《はらわた》煮えくり返ってるやろなぁ…。今頃ブチギレてるなぁ…」
寺岡「おもろいやないか。あんたが幼なじみに怒られてる所(笑)」
真一「なんでこの歳で幼なじみに説教されなアカンねん?」
白木「いや、以外と似合ってるかも(笑)」
真一「似合う似合わんの問題ちゃうねん❗
しかし、どうしようかなぁ… 」
登校後、図書館に行くと村田・加藤・滝川の3人がいた。
村田「堀川くん、おはよう」
真一「おはようさんです」
村田「これ(写真)ありがとう。めっちゃ良かったで❗ 」
と、貸した写真が返却された。
真一「そうかぁ。ところで、加島さんは?」
村田「先に教室へ行ったよ」
真一「そうか…。あのなぁ、今朝の優香さんの様子はどうやった? 怒ってたやろ?」
村田「…(笑)怒ってた」
真一「やっぱり❗」
村田「わかるん?」
真一「さっき白木から話聞いて、顔真っ青になったわ(笑)」
滝川「大丈夫やって。ゆうちゃん優しいんでしょ?」
真一「優しいけど、怒ってるということは…これは何か罪滅ぼしを考えなアカンということやな…」
加藤「罪滅ぼし?」
真一「うん。それで仮を返すってことやな」
村田「何でわかるん?」
真一「優香さんの性格でいったら、なんとなく…」
滝川「そんな先のことも読めるんや」
村田「さすが幼なじみやなぁ」
真一「そんな、誉めてもらうことちゃう(違う)で。あ、優香さんにはくれぐれも今の話はせんといてな。後で収集つかんようになるで❗」
村田「わかった。えらい神経質やなぁ(笑)」
真一「そこまでせんと優香さんは納得せえへん(しない)の❗」
村田・加藤・滝川は笑っていた。
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