3話

  初心者で未プレイな新入生が自分であると言われて驚いてる海璃だったが、凛はやっぱりそうかと思い苦笑を浮かべた。

  NLWの普及率は高く、下は小学生から上は70や80の高齢者までアカウントを所持している。というのも、NLWはゲーム要素だけでなく、SNSようなコミニュケーションツールとしても利用可能なのだ。

  NLWではゲームの仕様の関係上、身長や性別や見た目を変更は出来ない。自分自身が、NLWの世界を歩き回るのである。見た目は髪の毛の色や瞳の色は変えられるがその程度である。故に、気軽に遠い場所にいる知り合いと簡単に出会えるNLWはコミュニケーションツールとしても大変人気が高いのである。

  故に、凛も何度か海璃にNLWをすすめたのだが、海璃は欲しい物があるとすぐに手を出してしまう性格の為、お小遣いを貯める事が出来ず、NLWやそれをプレイする機械を買えずに現在に至る。本人も興味だけはあったので、この「VRMMO学園」に入学したのである。ここに入学出来れば、機械もソフトも授業料に含まれている為、海璃もNLWを取得する事が出来るのだ。


「それで、早速ですがPNとアカウントの暗証番号とパスワードを設定していただきたいんですが」


「PN……?」


「プレイヤーネームの略よ。まぁ、ようはアカウントネームみたいなものよ」


凛の説明を聞き、海璃は「なるほど」と納得するも、肝心のPNの設定をどうやればいいか分からずに戸惑っていると


「事前に渡された生徒証明証のカードの裏にQRコードがあるので、スマホでそのQRコードを読み取れば設定するページにいけますよ」


京がそう説明してくれたので、海璃は事前に貰った自身の生徒証明証の裏にあるQRコードをスマホで読み取り、設定画面を開いた。

  海璃はどんなPNにするか悩んだが、自分の「海」の文字から「ウミ」にPNを設定した。そして、適当に暗証番号とパスワードを設定をして登録完了の通知が海璃のスマホに届いた。


「……なんかあんまりVRMMO設定した感ないんだけど……」


「まぁ、最初の設定はみんなそんなもんよ」


初のVRMMOの初期設定が、スマホによる設定である事に海璃は若干ガッカリし、凛は苦笑を浮かべる。


「……はい。確かに。では、これが今日から海璃はんが使用する機器になります」


「おぉ!これが!?私の!?」


先程のガッカリ感は吹っ飛び、海璃は京からNLWを使用する為の機器を受け取った瞬間、目をキラキラと輝かせる。


「では、初期設定も完了しましたので、入学式が行われる講堂まで案内します」


京がにこやかに微笑んで海璃と凛を講堂まで案内する。2、3分歩いて辿り着いた講堂は、やはり普通の学校と変わらぬ講堂だった。少し違う点があるとすれば、すでに着席した新入生がVRゴーグルを装着している事だろう。


「それでは、七瀬さんに森園さんも席に着いてVRゴーグルを装着してログインしてくださいね」


京にそう言われ、2人は自分達のクラスの用意された椅子に座る。2人共偶然か必然か同じクラスだったので、2人は一緒に座れる椅子に座り、凛が隣の海璃に色々説明しながら海璃にVRゴーグルを装着させ、その後で凛は手慣れたようにVRゴーグルを装着した。


『ログイン!!』


2人が声を揃えてそう言うと、VRゴーグルで真っ暗な視界だったのが、急に光で溢れ出し、その光がおさまった後に目にした光景に海璃は感嘆の声をあげる。


  そこら、先程と同じ講堂の広さの建物だが、どこか西洋風な作りに変わっていて、更に、周りの人も鎧やローブなどの衣装に身を包んだ人達ばかりだった。

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VRMMO初心者の私ですが、この度「VRMMO学園」に入学しました 風間 シンヤ @kazamasinya

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