ふしんしゃ

 自給自足、それが昔からの夢だった。

 自分が使うもの、自分が食べるもの、出来得るかぎり自分で作りたいと思った。全てを自分で作るなんて、自分でも無理だとは思ったけど、それが子供の頃からの夢だった。だけど、大人になる頃にはそんな夢、すっかり諦めていたんだ。

 ただ幸いにも、若くして大金を得ることが出来て、思いきってチャレンジすることに決めた。そこから、人里離れた所に土地を買い、自分で家を建てて、畑を作ったんだ。何年も試行錯誤して、貯えもほとんど遣い果たしてしまった。それでもどうにか、何も買わなくても生活できるようになったんだ。

 近頃はたまに、どこで聞き付けたのか、こんな変わり者の話を聞きにくる人もいる。こんな辺鄙な所まで来て、いったい何が知りたいのか、不安に思ってしまう。その度に、こんなに他人を信用出来ない自分が、嫌になるんだ。

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