第5話 間違いなく君だらけだ

 豪快に笑う三咲につられて塩澤も笑う。



「ずっと気にしてた。いつか謝らなくちゃって思ってた、なかなか謝れなくてごめん」



 きょとんとする三咲。



「なにも悪いことしてないのに?」


「悪いことだよ。重いからって人のもの置いてきて、転校したしさ」


「じゃプリントの問題を間違えるのも悪いこと?」



 見せられた三咲のプリントは間違いだらけだ。



「それは、間違えてるだけで直せばいいよ」


「うん、だから大丈夫だよ。あたしもなんであたしにだけ答え教えてくれるんだろうってずっと気にしてたよ?」


「それは、隣だし気になっちゃって。別に他の人にも教えてるよ」


「しおちゃん、お願い!勉強教えて!!」 


「うん」


「さっそく、このプリントを埋めて…」


「少しは自分で考えましょー」


「それ数学の三沢の真似してんの?全然似てない!!こうだよこう、あっあー…はいっ黒板消しますよー」


「あははっに、似てる!ななみちゃん本当に面白い」


「ここー、出ますー」


「あははははっ、腹痛いっ」



 次の日の放課後、



「勉強教えてもらってる?あんなイヤミなやつに?」


「なんで美紀そんなに嫌がるの?いい人だよ」


「あいつほんとはもっと上の高校行けるはずなんだよ頭いいから、先生と話してるの聞いてさ。なんでもこの学校に会いたい人がいるんだと。乙女か!」


「…はいはい!それあたし!あたしのことだよ!!」


「バカ七海、絶対違うって」


「ひどーい、美紀にバカバカ言われるからバカになってる気がする!」

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