第3話 間違いなく君よんだよ

「ここ4だよ」


「ありがと」



 ここは休み時間の教室、ざわざわしている。問題を間違えたのが三咲七海。間違いを指摘したのが塩澤ちなみだ。



「なんでしおちゃんそんなに頭いいの?」



 塩澤は三咲の話を無視する。



「七海、あんなやつに関わんなよ」


「いいやつじゃん、よく教えてくれるよ」


「今シカトされたんだよ?あんたがそんな感じだからでしょ」


「そう?美紀あたしのことほめてんの!?」


「褒めてないよ、バカ七海」



 山本美紀は三咲の後ろの席だ。こちらを向いてた三咲に前を向かせる。


 放課後、三咲は一人で教室にいた。委員会で遅くなる山本を待っており、さっきまでは日直とワイワイ日誌を書いていた。



「あ、三咲?」



 男子生徒が忘れ物を取りに来た。



「あったあった」


「えらーい、プリント取りに来たの?」


「そう三咲もちゃんとしないと怒られるぞ」


「…うん」


「じゃあな」


「またねー」



 いなくなってまた一人。三咲は机の上にプリントを広げ、シャープペンシルの芯をカチカチと出す。三咲七海と名前の蘭を埋めたあと、彼女は眠ってしまう。


 隣の机がガタガタして目を覚ました。



「みき?」



 塩澤が鞄に教科書を入れているところだった。



「山本さんももう終わったからそのうち来るよ」


「しおちゃんも委員会だったの?」


「うん」


「教科書そんなに持って帰るの?」


「うん」


「重くないの?」


「重いよ」



 ふふふ、と三咲が笑う。



「重いなら無理しなくていいのに」


「な、ななみちゃんやっぱり覚えてるの?」

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