第92話 翼
もし私の背中に
大きな白い翼があれば
気まぐれに夜の街を駆け
きらめく灯りを見下ろすだろう
もし私の背中に
大きな白い翼があれば
底の見えない空の青を
一心不乱に泳ぐだろう
でも私の背中には
翼なんて生えていないから
重力から解き放たれて
翔ぶことなんてできなくて
だから私は言葉の翼で
あらゆる世界を駆け回る
現実の鎖に縛られながら
それでも自由に羽ばたいて
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