第58話 道のり

どこに続くのか分からない道を歩いている

柔らかい風に背中を押されながら

足にはうっすら血が滲んでいるけれど 

止まってしまうことのほうが怖くて


ゆるやかに変わる景色を横目に見ながら

ただ無言で足を進めて

その先に在るものには目もくれず

今をどう切り抜けるかだけを思う


道のりは遠く長く

願いは強く儚く


ほんのり漂う甘い香りが

今が秋であることを無言で告げて

色を変えていく風景とともに

その知らせをそっと受け止めた


広がる空の青の中にこぼれ落ちた白い雲

それを美しいと思う心に嘘はないから

きっとこれからも歩いていける

たどり着く未来を信じていける

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る