第30話 空を泳ぐ


見上げた空が青いから

私は私を脱ぎ捨てて

裸のままで空を泳ごう


生身の体はか弱くて

あっという間に擦り傷だらけ

でもその痛みすら愛しいなんて

どれだけ不自由だったのか


いつでも私という鎖は

容易くこの体を縛りつけ

心さえ拘束してしまうから

こんなに晴れた日くらいは

自由に泳いでいきたくて


見上げた空が青いから

私は私に身を任せ

流れる波の中泳ごう


時折ぶつかる白い雲は

私を彩るドレスとなって

血の滲む皮膚を包み込み

やさしく撫でてくれるだろう


だから私は恐れず泳ごう

ただ裸の私のままで

この澄みわたる青の中を



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