第8話 依頼人の部屋
彼女に 家の中へと 招かれて
その家具の小ささに 驚いた
全てが 一人用だった
きっちりと 一人用だった
部屋は狭くて
家具は小さく 地味で 破損している
天井には 洗濯物が
ひっそりと並んでいた
「お客様なんて、生まれて初めてで……どうお出迎えしてよいのか。紅茶は、お好き?」
不器用な笑顔を作ってみせる
依頼人の女性
特別に美人というわけでもない
老けてはいないが
やっぱり 子供がいても
おかしくない歳に見える
手紙には
大勢の男に 怯えているような内容が
しかし そのような内容を
いたずらで 投函する雰囲気の 女性には 見えない
「貴方の噂は、公園で遊ぶ子供たちから聞きました。日の光が、浴びれないんですって?」
やはり よくない噂のようだ
「私も、紫外線にとても弱いの。もうずっと家の中で過ごしているんです。人生を楽しむのならば、貴方のように肌を
何か 違和感を感じる
この小さな 家具たちが
男物に 見えるせいだろう
質素で 無骨な造りをしている
彼女の 趣味かもしれないが
ごつごつしていて 破損している 家具を
好き好んで 置くだろうか
金銭的な 問題が
絡んでいる可能性も ある
尋ねるのは 失礼だ
気づかないふりを することにした
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