第6話 旅する墓守り
山を越えるのは 軽いと思っていた
てっぺんを 超えたあたりで
足が 痛むまでは
地図だと このあたりから
ちゃんとした歩道が
あるらしいのだが
行く気がしない 生い茂る 森の奥に
本当に 舗装された道が
あるのだろうか
針葉樹の とがった木々の 向こうに
三角屋根の てっぺんが見える
私が 導かれる道
べつに行かないなら それでも 私の人生が回ってゆく
そんな道
良い物が見つかるとは
とうてい思えない
そんな道だ
わざわざ不快な思いを
経験してまで 行く価値が
この先にあるのか どうか
それも私が 決める道
暇じゃなかったら 行かなかっただろう
そんな道
空が曇ってなかったら
風が涼しくなかったら
あっさりしたサンドイッチが
うまくできなかったら
水筒に 美味い紅茶が
入らなかったら
自分のルーツを 知りたいと
思わなかったら
彼女に 心配をされなかったら
絶対に行かない
そんな道だ
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