第6話 隠し玉

「おい待て!」


 そんなこと言われて止まる奴がいたら見てみたい。


「逃げ足が速いな!」


 いつの間にか商店街を抜け、学園近くまで来てしまった。徐々に距離が離されていく。そろそろ捕まえないと完全に見逃してしまう。


「なんかねぇか……」


 捕まえる方法を色々と考えて、良いモノを持っていることを思い出した。


「これでも喰らえ!」


 ポケットから野球ボールを取り出して、少年目掛けて思い切り投げつける。このボールは、返すのを忘れていた少年野球のボールだ。


 ボールは少年の背中目掛けて真っ直ぐ飛んでいき、直撃する。少年は前触れもなく加えられた衝撃によってバランスを崩し、地面に倒れた。


「よっし!」


 米澤は倒れた少年の元に駆け寄る。


「え……?」



―ミスターPの襲来 終―

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