第6話 最初の依頼


「今回生徒会がスカウト部に依頼する内容は、【悪事の阻止】よ」

「ちょっと待ってください。スカウト部って知才学園への入学の合否を判断する部活でしたよね?なんですか【悪事の阻止】って?」

「あなた聞いてないの?スカウト部は天才のスカウトを基本的な活動にしているけれど、天才的な才能を悪事に使っている人たちに制裁を加える活動も行っているのよ」

「なるほど?」

「……昴流!もしや、ろくな説明もせずにスカウト部に入部させたのね!」


 生徒会長の言う通りです。


「私は知らないわ」


 しらを切る部長。


「彼女は米澤が連れて来たのよ」

「またあいつなのね!昴流、あいつは首輪を繋いでおいてって言ったわよね!それで、あいつはどこにいるのよ!」

「やあ、生徒会長!」

「いやあっ!」


 いつの間にか生徒会長の後ろにいた米澤先輩が飛び出してきた。


「いつの間に私の後ろにいたのよ!」

「部室に入ってきてからずっとですよ?」

「まったく。今度生徒会に何かしでかしたら即刻退学にさせる約束、忘れてないでしょうね?」


 米澤先輩は生徒会に恨みを持たれるようなことをしたのだろう。一体どんなことをしたんだろうか。


「はいはい、分かってますよ」 

「よろしい。それで……、何の話だっけ……。ああ、依頼のことね。詳しくは資料を見といて。何か問題があれば追加の資料を渡すわ」

「期限はいつまですか?」


 鷲宮先輩が問う。


「1日でも早い対処をお願いするわ。とんでもない奴よ。私も被害にあったんだから。――それじゃあ、そろそろ私は失礼するわ」


 生徒会長は扉まで戻ってき、ドアノブに手を掛けたところで一旦立ち止まった。


「あ、そうだ。スカートを穿くのなら、スパッツは穿いておくべきよね?」


 生徒会長は意味不明の言葉を残してスカウト部の部室を去って行った。



―スカウト部との出会い 終―

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る