終わりなき結末の法則
本の森には、ときどき〈セカイ〉の欠片が落ちている。一見するとキラキラ輝く綺麗な〈ビーダマ〉だが、その中には大抵、美しさとは無縁の血なまぐさい〝閉じられた結末〟が詰まっている。
そんなものを好んで集めているのは、ワシら〈ショーチョー〉くらいのものだ。他のセカイに影響が出ないように、なんて目的も、あるにはある。案内役である〈シシャ〉たちは、セカイ探しは得意でもビーダマ探しの腕は酷いものだから、多少面倒でも〈セカイ図書館〉内の巡回は欠かせない。
けれど、今回のそれは珍しくシシャが見つけていた。
「探してるときは見つからないくせに、他のことをしてると見つけちゃうのって、どうしてなんだろうねぇ」
「それは〝物探し〟が古くから持つ
ワシは3つほど翼を振るい、彼の肩へと飛び移ってのぞき込む。内包された色合いは、ほんのり〝哀しみの藍〟を帯びた〝諦めの灰〟。
念入りに赤系が混じっていないことを確認してから、「見ていくかい?」と福次を誘う。
「俺はいい。
「なにやら失礼な物言いだねぇ、〝おたふく〟」
「はっ! なんとでも言え、〝ワシロウ〟が」
お約束の軽口をほんのり叩きあったところで、今度はワシが溜め息をもらす番だった。
セカイに
――いや、少し冷静になろう。言いたいことがグルグルして頭を
福次のほうもワシの癖を心得ているから、とくに
「そういや、〈ビーダマ〉ってのはどうしてセカイから出てくるんだ? 俺たち〈シシャ〉が
「なかなか察しがよくなってきたじゃないか。さすがは
では、相手がビーダマであればどうなのか? もしかすると、
「セカイには意思がある。シシャができるのは、セカイ同士の過干渉を防ぐための〝整頓〟、および〈はぐれワタリ〉を送り込んでセカイの活性化を
「……それがビーダマ?」
「ホロッホー! ご名答だよ」
決して割れることなく、永遠に繰り返される〝終わりなき結末〟を内包する。それがビーダマの正体。
「さっきも言った通り、福次は
やってみてくれないか。思い切って提案すると、色よい答えが返ってきた。
どうか、君が彼らを救う〈
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終わりなき結末の法則
〔2019.03.20作〕
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