エンターテイナーなワタシ_221102
あら、こんにちは。
アナタと顔を合わせるのは久しぶりね。いつも忙しくしてるから、ワタシたち〈くも〉のことなんてなかなか意識できるはずもないか。
そうだ。せっかく目に留まったんだから、少しアピールしていいかしら?
――ワタシたちは芸術家よ。
小さなものから大掛かりなものまで、色々な形を作り出してはアナタを楽しませているわ。水気をまとったサマも、なかなかステキなものでしょう?
――ワタシたちは個性豊かなの。
アナタにとっての……そうねぇ、服みたいなものかしら。淡い色合いの子、暗い色のアンニュイな子に出会うことが多いと思うんだけど、シマ模様の子とか色鮮やかな子も居てギャップがすごいんだから。
――ワタシたちは風使いよ。
移動手段が風だなんて、自由で羨ましいでしょう? この心地いい空気の波に乗ってるときって、世界がすごく輝いて見えるの。あんまり強く吹くと荒っぽく移動させられちゃうから困るんだけどね。
――ワタシたちは演者でもあるわ。
この姿、とっても空に映えると思わない? 空を舞台にスルスル流れる動きはダンスみたいで、ただの飾りじゃ終わらないんだから。時間が合わなくて、なかなかお見せできないのが残念だわ。
ねぇ。なんだか変な顔してるけど、もしかしてワタシを
……まぁ、いいわ。ワタシのこと「好き」ってヒトばかりじゃないだろうから、許してあげる。たまにでいいから、またこうしてワタシを眺めてくれたら嬉しいな。
それじゃあ、またね。
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エンターテイナーなワタシ
〔2008.07.13 作/2022.11.02 改々〕
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* 元はmixiの日記で書いたナゾナゾ。語り手が第三者(ヒト)だったのを、黒井羊太さん主催の「ヤオヨロズ企画」参加にあたり2018年に擬人化対象の語りにリライト。
* どちらの「くも」にも取れるように書いたつもりだけど、どう読んでも蜘蛛よね……雲を眺める余裕も心にありますように。
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