10: アカペラで川岸に立ち朝の歌

早朝、薄曇り。


川岸にやって来ると木の香りが際立つ。


鳥の声だけが聞こえる林の中を、人影がないのを幸い「さあ、太陽を呼んでこい」を歌いながら歩いていたら、一段高くなっている道で高齢の男性が立ち止まってじっとこちらを見ている。

聞き惚れていたのか、それとも見とがめていたのか。


急に歌をやめるのもこちらの戸惑いを見透かされるようで、何となくシャクで、気が付かないふりをして、それでも幾分かボリュームを落として歌いながら通り過ぎた。

次からは周囲の警戒レベルを上げよう。


「さあ、太陽を呼んでこい」は若き作家時代の石原慎太郎の作詞による1963年発表の歌。

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