5. 灯の灯る夕餉支度の路地を行く

夕暮れ時、住宅街を散歩していると、ところどころの家から夕食をこさえているにおいが通りにまで漂ってくる。

カレーの匂いは季節を問わずだが、おでんの匂いがしてくると冬近しを感じさせられる。

もっと近頃はコンビニで年中おでんを売っているから、季節感はかなり失われては来ているが。


シチューの匂いがすると、(裕福な家…)という連想がつい働くが、これはシチューなどめったに食卓に上らなかった我が子供時代の後遺症か。


夕食を表すには「香り」ではなく「匂い」がふさわしい。

「香り」は単品、例えばワイン、コーヒーを形容するのにふさわしい気がする。


ちなみに「かおり」という名前の人はいるが、「におい」という名前の人にはまだ会ったことはない。



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