第2話 始まりその1

家の中に案内されるとまず、目に入ってきたのは中央の階段だった。

「わぁ、テレビとかで見るやつだ。」

階段の中央から左右に分かれている。踊り場の壁には見たこともないような大きな絵がかけられていた。人のような獣のようなどこか神々しくて懐かしい姿。

「こっちよ。」

階段を登り切った場所でアオイが手招きをする。

「実はね、あなたが来ることはご主人様から聞いて知っていたの。」

2階の廊下を進んだ一番奥のドアに手をかけてアオイが振り向いた。

「ここが今日からあなたの部屋よ。必要なものは一通りそろえておいたわ。気に入ってくれるといいけど。」

部屋の中に入ると僕が今まで暮らしていた部屋によく似た感じのとても感じのいい家具とベッド、それに机がそろえてあった。

「わぁ、いい部屋だね。」

「良かった、ご主人様からよくあなたの事聞いていたからこんなの好きかなと思って。」

アオイは少し照れたように微笑んだ。

「へぇ、そうなんだ…って!ちょっと待って!僕おじいさんとは小さなころに何度かあったことがあるだけだよ!それだけでこんな、僕の好みがわかるの?」

アオイは一瞬驚いた表情をしたが、次の瞬間には何かをたくらむような表情に変わった。

「あなた、小さな友達がいない?ほかの人には見えないような…。」

ずいずいと距離を詰められて僕はベッドに尻もちをついた。

「そうねぇ、こんな感じの。」

アオイはくるんと宙返りしたと思ったら猫のような姿になったかと思うと

長い尻尾を僕の顔にぴちぴちと当てながら膝の上に飛び乗ってきた。

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