「怪異ラブコメ」と銘打っているとおり、「ふさふさした毛のついた、何かの動物」や「身の丈五メートルはある大男」や「家の外からやってきて、住人の穢れを剥いでいく、怖いもの」が見える主人公と、その周囲の女の子たちの日常(と厄介事)を描いた作品です。
とくに変わった設定が出てくるわけではないのですが、話運びがとても自然で、ふざけすぎず深刻になりすぎず、とてもていねいに書かれています。キャラ同士の掛け合いも小気味よく、それでいて生き生きとしています。作者の方がキャラクターを、ちゃんと「人間」として見ているからだという気がします。
それぞれのエピソードは短編連作のような構造になっており、どこからでもすんなり入っていけるかなと思います。読み始めはサクっと気軽に、読み込んでいけばじっくりと味わえる秀作です。