魔法使いの絵本
子月豕
第1話
おじいちゃんの13回忌。おじいちゃんのものをそろそろ整理することになった。
そもそも、僕は会ったことも喋ったこともないけど。
でも、すごく不思議な人だったんだって、お父さんから聞いてた。
お母さんは、魔法が使えたって聞いた。
そんなこと嘘だと思ってた。
サンタさんだっていないのにって。
この瞬間まで。
『ふぉっふぉっふぉ、今から君に魔法を教えよう。わが孫よ。』
本が浮かび上がって、そこから立体映像みたいにおじいちゃんの写真そっくりそのままの顔が浮かんできた。
「わああああ!?お母さーん!お母さーん!!」
「まぁまぁどうしたの・・・?あら、お父さんじゃない!最後にこんなことしていたのね~。」
なんで冷静でいられるのおお?
『ふむ、未知留じゃないか?今も魔法は使っておるようじゃな。』
「ええ、まぁばれないようにですけどね。」
頭がくらくらしてきた。
「じゃあ魔法を教えて貰ってね~。私は家事で忙しいから。」
「えっ!?」
そう言うとすぐに見えなくなるお母さんの影。
『それじゃあ始めるぞい?』
「あ・・・はい。」
『よろしい。』
どうしてこうなった!?
――――――――――――
僕は何処にでもいる小学校2年生の淡路啓太!8歳!
最近サンタさんがお父さんだったことを知ったばっかだ・・・
おじいちゃんの13回忌って言われてるお葬式みたいなのに出てから、おじいちゃんの遺品を整理することになった。
家の中の物は大半終わったけど、古い倉庫の中の物はまだ、手付かずだったんだって。
倉庫に入っていろいろと見て回っている、一冊の綺麗な本を見つけた。それに目を引かれて引っ張ってみると、その本の入っていた棚が動き出して、見たことない言葉や、文字でいっぱいの場所を見つけた。
秘密基地みたいですごいと思って中に入ると、光り輝く一冊の本が置いてあった。
興味本位で開いてみると、突然眩しく光り出して、こんなことになっていた・・・
状況説明終わり!
――――――――――――
『まずは魔力を感じてもらおうかの。』
「え?本当に魔法ってあるの??」
『無ければどうやってわしは話しかけていると思う?』
「あっ確かに。」
『では、掌をこの本に触れてはくれんかの?』
「わかった。えい。」
そうすると手の中に熱がビリビリと走ってきた。
「わわっ。」
『それが魔力じゃ。では出してみよ。今度はその魔力をこの本に送ってみるのじゃ。』
「え?そんなの・・・」
そう言いながら触れると、心臓のある近くに確かなビリビリとした熱いところと、それが少し通っている体中の線、背中の骨に通る大きな線を感じた。
「できそう・・・えい!」
掛け声とともに、心臓の近くから背なかの骨、腕の骨、指先、掌とそのビリビリを流して本に送り込んだ。
『ふぉっふぉっふぉ。まぁ一回では・・・出来てるうううう!?』
「やったー!できたよ!これで魔法使い?」
『おかしいじゃろ?未知留だって1時間はかかったんじゃよ!?・・・でも魔術回路はちゃんとしておるようじゃし・・・ええい、一旦手を離して、その感覚を掌に集めて、炎をイメージしてみるのじゃ!』
目を閉じた。
炎炎・・・イメージしたのはお父さんのライターの火。
熱を巡らせて・・・掌に・・・
何もなかった掌に何か熱いものが乗っている感じがした。
「あ!できた!・・・あれ?消えちゃったや。」
思った通りの物ができた。あまりに嬉しさに飛び跳ねてしまい、直後に手に在ったライターぐらいの火は消えていた。
でも、まるで物語の人になれるみたいだ!
『えっ?なに?この子天才?現象再現の魔法とか・・・天才じゃったか。』
そう言って本は閉じた。
「おじいちゃーん!?」
――――――――――――
僕はまだ知らなかった。
ここから日常がこんなに変わるなんて。
魔法使いの絵本 子月豕 @kobuta090225
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