コップと少年

なるこ葉

第1話

コップと少年


まだ入れて。もっと入れて。

美味しいジュース、甘いミルク、もっともっと入れて。

コップにそそぎながら笑ってるママはいつもだめだよっていうの。

どうして?たくさんの方がうれしいのに。

むしばができちゃうよ、とか、たくさん飲むと体に良くないとか、その時でいうことがちがう。

ぼくはいつもふしぎだった。

ある日、ママはジュースをテーブルにおいたままおでかけにいったの。

ぼくはいそいでコップをだして、たーくさん入れたの。

その時、ドアが開いた。

すごくびっくりして、コップをおとしちゃったの。ガラスが割れて、ジュースがこぼれてぼくは大きな声で泣いてしまった。

ママがかなしむ、おこられる、と思って目を開けれなかった。

すると、体がふわっとつつまれて、いいにおいがした。

目を開けるとママがぼくをだきしめてた。

どうしたのってきかれたから、ぼくはすべて話した。

ママはぼくをなぐさめたあと、ジュースをふいて、ガラスを片付けて、買ってきた新しいコップをだした。

お兄ちゃんだから、これからはこのコップを使おうねって。

それは今までのコップより、少し大きかった。横には小さいカップがひとつ。

ぼくはなんだかほこらしくなった。

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コップと少年 なるこ葉 @mandr

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