第4話告白 Rosetta view

「私と……踊っていただけないだろうか……?」


は……?

私が……?

話したことすらない私がオーロラのお兄様と……?

なんでこんな地味子と?


「ええっと……なんで私なんでしょうか……」


「貴方ではいけなかったか?」


いや、そんな不思議そうに言われましても……

楽士がゆったりとしたワルツを奏で始める。

彼は、少し笑った。

いつもの無機質な顔と違って、微笑むが適切な表現なのかもしれない。

まあ、それは置いておいて。

回る時に、少し場内を見まわしてみた。

あああ…ご令嬢方の視線が痛い……

すごく綺麗なご令嬢達が、ものすごい勢いで私を睨みつけてくる……


曲が終わる。

これはさっさと帰らないとダメっぽい……

思ったよりも長居してしまったし。

えーん、全然ご飯食べられなかった(泣)

小さくお辞儀をして、サッと彼の前をすり抜けようとすると、いきなり腕を掴まれた。

え!?何?

私何か悪いことしましたかー?(泣)

私はそのまま、庭に連れていかれた。


「あ、あの、私に何か御用でしょうか……?」


おずおずと、彼に用件を聞いた。

ウィルフル様と同じぐらい眼光が鋭いよ……


「名、は?」


無愛想に、彼は私に告げた。


「えっと、サースシー伯爵家長女のロゼッタ·ヴィオラ·サースシーと申します……」


そうだよね。

話したことないもんね。

名前知らないよね。

でもその名前すら知らない私と踊ってたのはあなただよ!


「ロゼッタ嬢、か。響きの良い名前だな。」


まあ、お母様が響きのいい名前にしたからねぇ……


「あ、あの……」


さすがの私も相手の名前を知らないままだとダメだよね。

そう思って私は、彼に名前を聞いた。


「申し訳ございません……失礼なのは承知なのですが、お名前って……」


彼は少し驚いた顔をした。

まさか、自分が名前を把握されてないなんて思ってなかったんだろうな……


「クロフォード·レスト。近衛騎士団で団長をしている。」


「ああ、氷の。」


噂に聞く氷の騎士か。

クロフォード様本人は、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。


「ところでクロフォード様。本題に戻るのですが、何故私はここに連れてこられたんでしょう?」


コテンと首を傾げる。

彼は瞬時に真顔になった。

レスト公爵家の人たちって美しすぎる……

クロフォード様とかイケメンすぎて……

鑑賞に最適だよね。

あくまで鑑賞用だからね。


「ロゼッタ嬢」


なんか葛藤していたみたいだけど、終わったらしい。

クロフォード様が口を開いた。


「私と、結婚して欲しい。」


は?

わたしと?

ああ、もしかしてこの夜会、次期公爵夫人選び?

そうだよね。

で、いい人がいなかったからクロフォード様に興味無さそうな私を選んだのか〜。

1人で完結した。


「えーっと、あ、もしかして政略結婚ですか?」


「サースシー伯爵家の借金を全部返済すると約束する。」


借金返済してくれるの!?

政略結婚でこんなにも割がいいなんて……

でも、クロフォード様って未来の公爵様だよね?

私なんかでいいの!?


「借金返済してくださる上こんな地味な私と結婚……?次期公爵様なのに大丈夫なのですか……?」


なんか良さそうな顔をしてたからいいっぽい。ということにしておく。

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