第14話



 ————


 え、夢見の身体が燃えてる!


 そうだった。怪獣の火の玉に当たって、


「あついっ」


「くぅっ、ゆ、勇者ユメミーー!!」


 妖精さんっ!?

 妖精さんが夢見の前で火の玉を受け止めてくれている。綺麗な透明の羽に火がついた。


「死なせない! 勇者、ユメミはっ! お、起きましたね、勇者ユメミ! はやく! ドラゴンにトドメを!」


「わ、わかった! 怪獣さん、やめて! スプラッシュ~ビィーーム!!」


「だから……ドラゴン、ですぅ!」


 この際どうでもいいよ。


 もう片方の腕を吹っ飛ばした。


「はぅ」


 大変、妖精さんが落っこちちゃう。

 夢見は慌てて妖精さんをキャッチした。

 危なかった~。ちょっと焦げてるけれど、大丈夫そうだね。


 でも、怪獣さんは。


 怪獣さんは奥の方へ歩いていって丸くなる。


 目から涙がこぼれた。

 泣いてる。痛かったんだ。


 怪獣の下を見た。


「……たまご……そのたまごを守りたかっただけなんだね……」


「勇者ユメミ! さ、今のうちにトドメを刺しましょう! チャーンス!」


「妖精さんのボケちん!」


「ボケちん!?」


 夢見は泣いている怪獣さんの前まで歩いた。


 怪獣さんは目を閉じた。震えてる。


 夢見は、ステッキに願いを込めた。



 ——お願い!!

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