第8話



 地面に穴が開いた。


 滑り台みたいに滑った。

 飛び出したら雪山から草原に出た。


 良かった~。でも、もうこんな冒険いや。


「妖精さん、夢見、帰る」


「それは、駄目です、勇者ユメミ!」


「勇者じゃないもん。帰るったら、帰る」


「駄目です。それは、駄目です!」


「ふん、帰るもん!」


「はっ! 大変です! あそこにモンスターが、今すぐ倒してレベルアップしましょう。魔王を倒すために!」


 妖精さんって本当に自己チューさんだね。


「ゆ、勇者ユメミが戦わないのなら、わたしが戦います!」


 妖精さんがモンスターの前に。モンスターは三匹いる。木の棒を持ったモンスター。


「やぁーっ!」


 妖精さんのヒップアタック!


「きゃぁっ!」


 と、思ったら、すぐに叩き落とされちゃった。

 地面に落ちた妖精さん。


「きゃっ!」


「よ、妖精さんっ!?」


 い、痛そう。酷い、こんなの、弱いものいじめだよ。地面に落ちた妖精さんを木の棒で何度も何度も叩くモンスターたち。


 もうやめて! 死んじゃうよ!


「ここまでのようです……ゆ、うしゃ、ユメミ……貴女は、魔王を……」


「駄目ぇぇっ!! ティンクルスター!!」


 死なないで、妖精さん!

 今たすけてあげるから!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る