第5話



 洞窟の中はキラキラしてた。


「勇者ユメミ! 見てくださいっ、宝箱です!」


 なんだかゲームみたい。

 妖精さんが嬉しそうに宝箱に触れた。


「あわわっ!?」


「妖精さん!?」


 大変だ。妖精さんが大きなイカさんの脚に捕まってしまったみたい。


 どうしよう、海の中じゃティンクルスターは使えそうにない。


「ひぇ~んっ、勇者ユメミ~た~す~け~て~!!」


 このままじゃ妖精さんが食べられちゃう。いつもうるさくて自分勝手な妖精さんだけど、食べられちゃうのはかわいそうだよ。


 何とかしないと。でも、どうすれば。


「勇者ユメミ、脚を斬って~目が回る~」


 脚を切ればいいんだね。


 宝箱がこっちに流れてきた。イカさんが妖精さんの味見をしている内に開けちゃお。


 開けると、中に子供用のハサミが入ってた。手に取ると、夢見の身体くらいの大きさになった。


 夢見はそのハサミを両手で持って、イカさんの脚を切っちゃった。


 イカさんは泣いて逃げた。ごめんね。


「た、た、たすかりまじだぁ~」


「次からは不用意に宝箱に近づかないこと」


 でも良かった。妖精さんが無事で。

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