誕生日

片思いの相手と自分の誕生日を過ごせる、

そんなラッキーなやつはこの世界でどのくらいいるのだろうか。


自慢ではないが言わせてほしい。

私はその世界でも数少ないであろうラッキーなやつなのだ。



「誕生日、どうする?」



私はどこかに重大な記憶を置いてきてしまったのだろうか。

いや、少なくとも記憶をすっ飛ばすほどの酒を飲む事はしていない。

ここ最近は。

知らぬ間にあの人と私は付き合っていたのだろうか。


そんな馬鹿な事を考えてしまうくらい唐突にメッセージは来た。


戸惑いつつも、ちゃっかりとご飯に行く約束を取り付けた。

おまけにど定番デートスポットでの待ち合わせ。


こんな千載一遇のチャンスを片思いしているやつたるもの逃すものか。

私の誕生日は語呂合わせが良かったから覚えていただけらしいが、

チャンスには変わりないし、私がラッキーなやつなのにも変わりはない。



ああ神様。

慣れない仕事と自分の夢とのギャップで心が死にそうな、

職場からの帰り道に人知れず泣いている、私へのご褒美なのでしょうか。


違うのだとしても、それならまだもう少し夢を見させてほしい。

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