第24話 三本立て
ゼミの準備で大学に遅くまで残って、すっかり暗くなってしまった。
仲間と一緒に校舎から出ようと玄関まで行くと、恐ろしい光景が。外からザバザバと何かが押し寄せてくる。液体と言うより、赤や黄の粒状のものが混ざり合っている。その流れが、玄関の出口へ向かう幅広の階段を、ジワジワと遡行してくる。
「小人がいるぞ!」
仲間の声によく見ると、流れの手前を白い小さな人影が必死に逃げてくる。だが、指先ほどのサイズなので足が遅く、次々に流れに飲み込まれていく。
つい、助けようと手を伸ばすと、白い小人は指先にスッと吸い込まれた。
「え?」
すると、今度は指から白い糸のようなものが生え、手足が分かれて小人になっていく。それが指先だけでなく、手のひら、腕へと広がりだす。
「やだ、嫌だ!」
握りつぶすように手を閉じると、指や手のひらから生えた白い糸で縫い合わされたようになり、手を開くことができなくなった。
「うわぁぁぁ!」
となったところで、目が覚めた。
目が覚めると、大学の研究室の長椅子の上。やはり、もう遅くて外は暗い。
仲間と帰ろうと廊下を歩きだすと、ふと先ほどの夢を思い出した。
別な玄関から出ようと踵を返す。仲間たちは自然と男女に別れ、野郎どもだけ三人で薄暗い廊下を歩く。
玄関を出ると、外は雨で肌寒い。
年上でガラッパチな奴がつぶやいた。
「この人数なら入れるな」
小腹もすいてるので遅くまで空いている飲み屋に。
ガラス戸をくぐると、狭い店内は意外と混んでいて暖かい。テーブルの上には鍋物などがぐつぐつと音を立てていた。
鉄板の上でジュージューと音を立ててるソーセージに箸を伸ばそうとすると、ここへ誘った奴がにやりと笑った。
「ここの支払いの仕組みじゃな、料理に手を付けたら丸ごとお買い上げなんだぜ」
それは困った。各自が
懐具合が気になったところで目が覚めた。
唐突に、仲間と田舎の林道でサイクリング。自分は
秋晴れの青空の下、風が心地よい。
緩やかな坂を、懸命にペダルをこいて上っていく。やがて下り坂になり、どんどんスピードが出て、今度はカーブでコースアウトしないよう、必死でハンドルを握りしめた。やがて直線の橋を渡ると踏切があり、ちょうど警報が鳴り始めたので、慌てて急ブレーキ。
すると、対向車線を流線型の物体が走り抜けていった。どう見てもコンコルドだが、三角翼の両端が切り落とされた形状で、車輪で自走していた。
「な、何だあれ?」
そう声を上げたところで、もう一台のコンコルドが走ってきた。しかし、降りてきた遮断機にぶつかってコケてしまった。
全長1メートルほどで、どうやら人は乗っておらず自動運転らしい。そのせいか、かなり軽いようだ。
列車が通過して遮断機が上がると、踏切の向こうから四~五人の少年たちが小走りにやって来た。みな、高校生くらいの年齢。
斜めにコケてるコンコルドを起こし、道端で点検ハッチを開いて何かの表示を読み取り、会話している。
「なんで踏切で停まらなかった?」
「胡瓜と茄子が出てるから、きっとあの処理が……」
最近の子は、エラーコードを絵文字で出すんだな。
なんとかという、高等専門学校の生徒たちらしい。
コンコルドは無人のソーラーカーで、翼に見えたのは太陽電池らしい。
頑張れ、日本の若者よ!
という所で自分の実年齢を思い出し、目が覚めた。
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