第23話 ロボか巨人

 謎の怪獣に繰り返し襲われる東京。

 その脅威に立ち向かう組織に、僕は所属している。


 立ち向かう手段は二つ。ひとつは、巨大ロボに搭乗して戦うこと。それなりに訓練が必要で、僕はこちらの要員だ。しかし、命令がなければ勝手に出動はできない。

 もうひとつは、「召喚」。魔法かなにかで、進撃しちゃう巨人のような姿にされて、怪獣と肉弾戦を行う。こっちは特別な訓練はなく、男性職員が持ち回りで召喚される。

 ちなみに、戦うのは男性職員ばかりで、女子は戦闘指揮や後方担当。僕の上司も女性だ。ジェンダー的に良いのか、それ?

 今のところ、脅威度の高い大物はロボで、低い小物は巨人化で対応する事になっていた。


 この日、都心部に突如出現した怪獣は、比較的小型だが不定形でグネグネしていた。直ちに同僚が二人「召喚」されて、全裸の(股間はつるんと何もない)巨人となって戦う。超高層の本部ビルの足元で、戦闘が始まった。

 二体の巨人が挟み撃ちにして戦うが、殴っても蹴ってもグネグネして手ごたえがない。そのうちに絡みつかれて、二体とも悶え苦しみだした。


 突然、管内アナウンスが。自分の名前が呼ばれた。

 ――自分を「召喚」する、だって!?

 あんなグネグネと全裸でくんずほぐれつだなんて、願い下げだ! 

 僕は上司に詰め寄った。

「お、お願いします! 出撃命令を! ロボで出させてください!」

 だが、凛々しい女性の上司の答えは。

「都心部を焼き払うわけにはいかんだろ。何とかして捕獲し、排除しなければならん」

 無慈悲なものだった。

 その時、エレベーターが開くと「召喚」されてた同僚二人が出てきた。

「あー、ダメだわアイツ。手ごたえが何もない」

「絡みつかれると、もう無理だな。口や鼻を覆われると息がなぁ」

 ソファにどっかり座ると、僕を手招きする。

「てなわけで、新人君にあとは任せた」

「おう、男だろ。バシッと決めてきな」


 お願いです、ロボに載せてください……。 

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