第15話 孤軍奮闘

 サッカーの試合当日。いきなり出ることになった。


「え、僕一人?」

 サッカーって十一人でやるもんだよね。赤き血のイレ〇ン。


 そんな抗議も空しく、試合開始。

 当然、マトモな試合になるはずもない。こちらはゴールキーパーをやるしかなく、ゴール前から動けない。

 相手チームにはさんざんバカにされ、仲間内でパスを回すだけで、一向に攻め込んでこない。時間切れ寸前に、シュート一発で終らせるつもりらしい。


 いい加減ウンザリして、ゴール前から飛び出す。不意を突いて、パスで回してるボールを蹴る。意外にも敵ゴールにボールは直進!

 しかしゴール手前で弾かれ、フィールドの外へ。


 コーナーキックとなり、一人しかいないから自分が蹴ることに。当然、こちらのゴールはがら空きだから、蹴ってボールがフィールドに入れば、そのままシュートされてゲームオーバーになるだろう。

 それを狙って、相手チームはこちらのゴール前にたむろっていた。


「それって、オフサイドだろ!」

 と抗議するが、こちらはゴールキーパーしかいないから、適用されないらしい。そもそも、一人と言うのがおかしいんだが。


 こうなったらヤケクソ。思いっ切りボールを蹴ってやれ。


 力んだせいか、蹴る脚がボールの中心からずれた。激しくスピンするボールは大きく曲がり、あくびしてる敵キーパーをかすめてゴール!


 そこで時間切れとなり、試合終了。


「勝っちゃったよ・・・一人なのに」

 あまりのことに呆然としていると、夢から覚めた。

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