第14話 チャリで北!

 自転車で旅をしていて、現在地を確認しようとスマホのマップを開くと、外国語の地名だらけの地図の上に、見慣れないマークが出ていた。

 何気なくクリックすると、突然あたりの景色が変わった。


 ひなびた地方都市のようだ。奇妙なことに、人気ひとけが全くない。

 しばらく進むと、もの凄く広い道路に出た。急に寒くなって、気づいた。路面も周囲の家並みも、凍りついている。やがて、家の前で雪や氷に包まれた人々があちこちに見えてくる。

 完全に死に絶えた街。周囲を見渡しても、人の気配の全くない家々が連なるばかり。

 そう言えば、地図の地名はロシア語っぽかった。


 ペダルを少しこぐと、今度は止まらなくなった。大通りは緩い下り坂らしく、徐々にスピードが増す。路面が凍結しているためか、ブレーキも効かない。

 両脚を凍った路面に踏ん張って速度を殺しながらも、廃墟となった世界を進み続けることに。


 スマホの画面には、あのマークが再び出ている。日本の地図の上に。

 再びタップすれば、戻れるのだろうか?


――――――――――

Facebookで書いたオリジナル。ちょうど1年前でした。

https://www.facebook.com/hirahare.harahoro/posts/141734947093321

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る