第17話「森のカフカ」
夢中で闇の中を走った。
何も見えない。何も聞こえない。
夜の森の中、道無き道を走っているので木の枝がやたら身体に突き刺さる。
しかし痛くはない。傷もできない。血も出ない。
認めたくない。認められない。
理解ができない。理解したく無い。
俺を見るハピィの目、そして俺と対峙した時の師匠の目。
それはこれまでの温かいものとは全く違っていて。
視界に映る熊のように大きな手、俺自身が倒れている姿。
それはまるで悪い夢でも見ているかのようで。
どう考えてもおかしいことになっている。
俺はここにいるのに俺がもう一人倒れていて、皆んなが俺を怖い目で見る。
こんなの何かの間違いだ。
俺はキャロル。
異世界転生したその時から昨日までの記憶もあるし、間違えるはずもない。いや、間違えようがない。
俺はキャロル。
俺がキャロルだ。
どこまでも走る。
どれだけ走っても疲れない。どこまで行ってもこの悪夢は終わらない。
どこまで走って来たのだろうか。
木が生えていない、少し広いエリアにたどり着いた。
俺は草の上にどっかりと腰を下ろし、寝転がった。
森の中だというのにここだけ上がポッカリと空いていて、半分欠けた月が丁度見えた。
「ヴヴォオ…」
独り言を言おうとしたらくぐもった唸り声となって出てきた。
…まともな声すら出せないのか。
どうしようか。
どうしたらいい。
俺はいつになったら元に戻れる。
もしかして一生この身体なんじゃないか。
それは絶対に嫌だ。
何とかしなければ。
俺はいつも背中にあるはずの水晶に手をかけようとしたが、その手は虚しく空をかいた。
なんだ、吸魔石もないのか。
詠唱も出来ないみたいなので今は無詠唱魔法しか使えない。
そういえばまた村長との約束を破ってたくさん無詠唱魔法を使ってしまった。
まぁあの場面では仕方ないんだけど。
それにしても…
ああ、腹減ったなぁ。
俺はその場で独り、夜を過ごした。
☆
朝になって日差しが差し込んできた。
目を開くと直接太陽が飛び込んで来てめちゃくちゃ眩しい。
なんで俺はこんな眩しいところで寝てんだ。
日差しを遮ろうと手をかざして…俺は全てを思い出した。
俺は化け物になってしまったんだ。
昨日から腹が減ったとは思っていたが、朝になってその状況は更に悪化していた。
とにかく何かしら口に入れないと苦しくてしょうがない。
色々と考えるのは後にして、俺はとりあえず食べられるものを探す事にした。
森で手に入る食料といえば、木の実や山菜だろう。
幸い以前村長から色々と森の植物について教わっているので、それを参考に食べられるものを探して歩く。
探し回って数時間。思いの外成果は結構あった。
しかし現実は厳しく、この巨大な身体に見合うだけの食料など短時間に見つけられるはずもなかった。
得られるカロリーよりも探し回るカロリーの方が圧倒的に多い。
どう考えてもジリ貧だ。
おまけに、ただでさえ限界なのに腹だけでなく喉も渇いてきた。
このままだと死んでしまう。
…いや、いっそこんな化け物、死んだほうが良いのではないか。
俺は生きてる意味あるのか?
いつ元に戻れるかもわからない。
こんな身体で一生暮らしていくくらいなら、このまま飢えて死んだほうが…
体力の限界に伴ってどんどん弱気な思考に陥っているのに気づく。
いやダメだ。希望を捨ててはいけない。
師匠ならば、きっとなんとかしてくれる。
そしていつかきっと、元に戻れる。
それまでちゃんと命を繋いで居ないと。
俺は決意を漲らせた。
方針を変えるべきだ。
この燃費の悪い身体を保たせるには、高カロリーなものを口にする必要がある。
つまりは狩りだ。
俺の身体は今狩りに適しているようだし、場合によっては無詠唱魔法も使える。
リィリィのお父さん、ライザさんもよく狩をしていたようだし、俺にも出来ない事はないはずだ。
それから水源。
これだけ広い森なんだ。何処かに湧き水のひとつや二つくらい絶対にある。
それを探さなければならない。
俺はその二つの目標を掲げて再び森を散策した。
2時間か3時間程歩き回っただろうか。
ついに見つけた。
森の中をチョロチョロと流れる小さな川。
そしてその水が溜まっている水場に立派な角の生えた鹿のような動物が喉を潤しに来ていた。
あれはスパイラルホーン。お父さんがたまに高級肉だと言って喜んでいたのを思い出す。
そんな何気ない思い出が、手を伸ばしても届かない程遠くに行ってしまったような気がして不意に怖くなる。
…しっかりしろ、俺。
感情に浸っても腹は膨れないぞ。
これはラッキーだ。水と食料が一気に二つも得られるなんて。
俺はここで迷った。
無詠唱魔法で仕留めるか、あるいはこの身体で仕留めるか。
間違いなく無詠唱魔法の方が確実だ。
しかし、無詠唱魔法は一応使うなと言われている。
昨日散々その約束を破ったばかりで罪悪感もある。
俺は身体で仕留める事に決めた。
右手の鉤爪を見る。一本一本が俺が振っていた木刀より大きい。
簡単な事だ。この手が奴に届けば奴は死ぬ。
俺と鹿の距離は10メートルほど。
行ける。
いくぞ!!
クラウチングスタートのように茂みから飛び出して、鹿目指して走った。
は、速い!!
普通の鹿ではない。俺に気がついた鹿は地面がめり込むほどに大地を蹴り上げ、俺が思った以上のスピードで逃げていく。
まずい、このままだと逃げられる!
俺は一か八か、その場からジャンプして飛びかかった。
奴は横は見えているようだが後ろは見えていない。死角のここからならば勝てる。
…結果、俺は鹿を捕らえ損ねた。
飛びかかった俺は奴の後ろ足で蹴り上げられ、惨めにも木に激突。
気づいた時には既に鹿の姿は無かった。
…水でも飲むか。
水場でごくごくとこれでもかと水を飲んだ。食い溜めならぬ水溜めだ。
ヤケ飲みとも言う。
バシャバシャと顔を洗うと、水場に血が広がっていく。
俺の顔と手についていた血だ。
俺はそれが気持ち悪くて、口についた血も身体についた血も全て洗い流した。
その時飲んだ水は最高に美味しかった。
俺は水場の近くで横になった。
かなり体力を使ってしまったみたいだ。それなのに大切なカロリーを逃してしまった。
完全にやってしまった。
喪失感が半端じゃない。
お腹の減りも限界で、背と腹がくっついているかと思うほどだ。
気が狂いそうになる。
もうなんでもいいから口にしたい。
食べられるものなら何でもいい。
食べられないものでも口にしたい。
寧ろ食べたいものが食べたい。
食べたい、たべたい、タベタイ
ああ…苦しい…辛い…
俺の意識はそのまま遠のいていった。
☆
その晩に起きた事件はあまりにも凄惨で、なおかつ類を見ないものであった。
死者41人、重症者13人。
その殆ど全てがちゃんとした訓練を受けた兵士であり、これだけの被害を出したにもかかわらず軽症の者は誰一人居ない。
目をつけられたら最後、皆致命傷を負うか命を落とすことになったからだ。
その事件の元凶は一匹の魔獣。
その姿を見た者は、魔獣の姿についてこう語った。
曰く、長い腕と5本の鋭い鉤爪を持つ。
曰く、二本足で歩く熊のような見た目である。
曰く、口を開くと大小無数の歯がビッシリとひしめいている。
曰く、目は8つある。
曰く、腕も4本ある。
目撃者の意見がそれぞれ食い違うという不可解な事が起こったものの、人の生理的嫌悪感を引き立てる、身の毛もよだつ外見であったという点だけは一致した。
そして、事件のあらましはこうだ。
事件が起きた日の深夜、その魔獣は村長の屋敷の裏、北の森から突如出現した。
初めは暗がりの中、獣が迷い出てきたのだと軽く考え、見張りの兵士が数人で対処に向かった。
魔獣は腕の一振りで数人の兵士を切り裂いて絶命させ、それぞれの頭部のみ骨ごと食らった。
帰りが遅いと様子を見にきた若手の兵士が惨劇を目の当たりにし、悲鳴を上げ、助けを求めるも絶命。
その悲鳴で駆けつけた多くの警備兵が次々と頭を喰われていった。
魔獣は捕食しながらも少しずつ移動し、村長の屋敷の入り口へと到達。
まるで目的があるかのように中へと侵入し、その魔獣の通り道にいた中の警備兵も漏れなく頭部を食いちぎられていった。
魔獣の進行方向には運悪く王女殿下が眠る部屋があり、また不幸中の幸いか英雄ミント・メモリアの弟子2人が同室で眠っていた。
英雄の一番弟子であるキャロルという幼児は、驚くべき事にかの魔獣に対して善戦し、王女殿下を守るためその魔法の才を遺憾無く発揮するも、敗北。
絶対絶滅の危機に陥った王女殿下の元へ英雄ミント・メモリアが駆けつけ、臨戦態勢へ移行した。
しかし先の弟子との戦いで傷を負っていたのか、はたまた勝ち目無しと本能で悟ったのか、魔獣は屋敷の壁を破壊して逃げるように北の森へと消えていった。
英雄ミントとその弟子キャロルの活躍により王女殿下の命は辛くも守られたが、多くの兵士の命が一匹の魔獣を前に無残に散った、歴史に残る大事件だった事は言うまでもない。
なお、その事件の前日から起きていた不可解な盗難事件、供物の豚の殺害、夫婦の商人の殺害事件もこれと関連が深いとして調査中である。
☆
キャロルの両親、姉。友人達、そして英雄ミント。
多くの人が集まっている中、キャロルは目覚めた。
魔獣との戦いで瀕死の重症を負い、一週間は目覚めないだろうと元治療師の村長は言った。
しかし結果としてその想定は良い方向に大きく外れることになった。
「「キャロル!!!」」
母親とリーゼロッテが喜びのあまりキャロルに抱きつく。
涙を流して頬擦りする母親と姉を見て、父親は静かに涙した。
キャロルは自分が置かれた状況がよく掴めていないのか、無言のままパチパチと瞬きしている。
ミントは家族だけにした方がいいだろうと思い、リィリィ、サイファー、ハピィにそっと耳打ちした。
4人はそっと部屋を出る。
「…良かったのです」
ハピィはキャロルが重症を負った事に責任を感じていた。
その重圧がスッと軽くなったような気がしてホッとすると同時に、ポロポロと涙が溢れる。
安心からのなのか、それとも抑えていた恐怖心からなのか、はたまた喜びの涙なのか。
ハピィ自身にもよくわからない気持ちが溢れ出し、嗚咽となって漏れた。
「ハピィはよく頑張った。」
よしよし、と妹の頭を撫でるリィリィ。
目標としている壁であり、根は優しい姉であるリィリィに撫でられた事で、ハピィはわんわんと声を出して泣いた。
サイファーはその様子を温かい目で見守っている。
一方でミントは、自身の選択でこのような結果になった事を深く悔やんでいた。
前日に殺人があった段階でより警戒し、万が一の為に屋敷に自分も残るべきだった。
いち早く事件解決する為、ミントは魔獣の足跡を追うなどして森へ捜索に出ていたのだった。
ミントの目から見て、キャロルは贔屓目無しに強い。
実年齢3歳らしいが、年齢をアホらしく感じるほどの力を内に秘めている。
それ故に油断した。
己が一番弟子であるキャロルの命を奪いかねない程の強力な魔獣が現れる事は、完全に想定外だった。
(英雄だなんだと言われているが…僕はまだ甘すぎるんだ。)
ミントは次からはこのような事が無いよう気合を入れ直すのだった。
ガチャッとドアが開く音がする。
そこには泣きはらしたキャロルの母親の姿があった。
「キャロルが…キャロルの記憶が…混乱しているみたいなんです…。」
母親は心配そうにそう語った。
彼女曰く、今のキャロルは何を問いかけても返事をしないらしい。
まるで自分が母親である事すら忘れているようだとその場で泣き崩れた。
ミントはそれを聞いて急いで様子を見に行った。
間違いなくキャロルは生きていた。
目は開いているし、キョロキョロと何かを探すような仕草も見られる。
しかし確かに、母親の言う通りのようだった。
辛抱強く一生懸命色々な事を語りかける姉のリーゼロッテだが、キャロルの反応は悲しいほどに皆無である。
彼の様子からして、リーゼロッテの事などまるで眼中に入っていないように見える。
それでも懸命に愛する弟に語りかけるリーゼロッテの姿があまりに痛ましくて、ミントはそっと部屋を出た。
なんて事だ。
もしこのままキャロルがそのままなら、彼の家族にどうお詫びしたらいいのか。
死んで償えと言われれば従おう。
しかし、死んだところでキャロルは…昨日までのキャロルは戻って来ない。
「…僕は師匠失格だよ、キャロル。」
泣いたりする権利は自分には無い。
ミントは村長に様子を見てもらおうとその場を離れた。
☆
村長の屋敷付近は正に地獄だった。
昨晩あまりに大量の血が流れたおかげで地面が赤く染まっている。
死体は一箇所に集めて略式の供養をし、火にくべるのだと言う。
その死体一体一体に膝を折って祈りを捧げているのは村長その人。
聖職者であり、誰よりも慈愛に満ちた人間だとミントは思っている。
「ばあちゃん…。」
「なんじゃ」
祈りが途切れたタイミングで話しかける。
「キャロルが目覚めたんだ。」
そうかと短く答えると、村長はスッと立ち上がってキャロルの家に向かって歩き出した。
ミントもそれについていく。
道中、何やら深刻な様子で村長が口を開いた。
「ミントや。よーく聞いとくれ。」
「…なんだよ。」
「キャロルの事じゃがな…これまでに無い程にハザードが上がっておった。
恐らく昨日は相当無茶な戦いをしたんじゃろう。」
「なんて事だ…。」
ハザードとは警戒レベルのことであり、悪魔により影響を受けている、もしくは受けやすくなっている事を意味する。
つまり、ハザードが上がるという事は、キャロルが悪魔により近寄っているという事に他ならない。
悪魔と言っても72柱もいるわけだが、実体の無い彼らの目的は共通して”人間の身体を乗っ取ること”だ。
その手法は悪魔によって様々で、願いを叶える代わりに乗っ取ったり、言葉巧みに騙し取ったりと其々の個体によって細部は異なる。
キャロルがどんな悪魔に好かれているのかはわからないが、一晩で急激にハザードが上がったことを考えれば、何かしらの精神汚染を受けて唆された事も考えられる。
ミントはキャロルがハザードを”超えて”しまわないために色々と手を打ったつもりだった。
無詠唱を禁止し、陣魔法に切り替えた。
直接魔力を扱うのはリスキーだとして吸魔石を常に持ち歩くよう指示した。
メインを魔術師ではなく錬金術師にシフトさせようとした。
それにも関わらず、結果的に彼のハザードは上がってしまった。
ミントは己の不甲斐なさを悔やみ、唇を噛む。
「それとな。…これはお前さんに話すか迷ったのじゃが。」
村長はミントの顔を見ない。
その様子はまるで感情を押し殺しているかのようだ。
果たして、村長の口から出た言葉はミントを更なる自責に追い込むに足るものであった。
「キャロルの中の悪魔の反応が、二つに増えておった。」
「っな…!?馬鹿な…」
あり得ない。これまで色々な悪魔に関する文献を研究して来たが、そのような事例は一例たりとも聞いた事が無い。
「…それはきっと、なにかの間違いだろ。」
それはただの願望。村長が大切な時に下らぬ冗談を言う人では無い事はよく知っていた。
悪魔に一度憑かれたらまともな人としては生きられないと言われている。
絶望して自ら命を断つか、殺されるか、はたまた身体を奪われて悪魔となるか。
しかし、ミントはそうは思わない。
現にミントは自分の中の悪魔を上手く御する事によって、英雄としてその力を認められた。
それ故に、ミントはキャロルも上手く生きていけるはずだと信じているのである。
否、信じていたのである。
しかしそれは当然、憑かれたのが一柱なら、という大前提が敷かれている。
あまりのショックに目眩がして倒れそうになるも、辛うじて耐える。
「最早悠長な事はいっておれん。
キャロルには一刻も早くシナプシス教の洗礼を受けてもらわねばならん。」
シナプシス教。
この国だけでなく周辺国で最も広く信奉されている宗教である。
本山を持つ国がシナプシス教国であり、ここギリヤナも含め周辺国を属国として従えている。
シナプシス教は悪魔に対して唯一の対抗手段となっており、かの宗教に入信すると邪を払う事が叶うと言われている。
ただしそれなりに黒い噂もあり、特に教団が囲うエクソシストという武装組織は手段を選ばない強硬派として有名であった。
とは言え村長は元教団のシスターである為、キャロルの入信が彼を救うと信じているのである。
以前この件を打診された時、ミントは難色を示した。
ミント自身、シナプシス教国に入団する事なく自分の力で克服できた経験もあり、キャロル本人の希望が無いうちは入信させるべきでは無いと考えていたからだ。
何より黒い噂もある教団に弟子を入れたくはない。
村長もそれを聞いて、キャロルが大丈夫ならばそれでいいと言って一度は引き下がった。
しかし、二柱に憑かれたとあっては話が変わってくる。
最早かの宗教に頼るしか方法は無いのかもしれない。
いやしかし…。
ミントは揺れていた。
「ばあちゃんの事は信じてる。でも、あの教団はどこかおかしいんだ。
悪魔憑きに関して何か秘密がある。」
「…ワタシはそんな事は無いと信じておるが、お前さんが言うならばそうなのかもしれんの。
だが…最早他に選択の余地はないじゃろう。
あの子が悪魔に乗っ取られるか、それかシナプシス教に入るか。
この二択ならば考えるまでもない。」
その通りだ。
二柱に憑かれるという異例の事態が起きている以上、ミントは首肯する他ないのだった。
☆
今日は心臓が壊れる日かもしれない。
ミントは本気でそう思った。
それくらい、驚いてばかりであった。
先程まで明らかにおかしかったキャロルは、ミントが村長を呼びに行っていた、ものの半刻程度の間に明らかな回復を見せていた。
「…村長。師匠。」
村長とミントが部屋に入るとキャロルはそれぞれの名を呼んだ。
話しかけられても無反応だった半刻前とは明らかに違っている。
流石にいまだにぼんやりと夢心地の微睡の中にいるような感じだが、それでも自発的な行動を取ったのは天と地ほどの違いがある。
「キャロル、お前さん具合はどうだね。」
「…具合?」
「うむ。」
「…いい。」
「それは良かった。」
会話には少々難があるようだが、この回復速度ならばそう遠く無いうちに元に戻るだろう。
村長がそういうと、キャロルの家族は涙を流して喜んだ。
しかし、ミントには素直に喜べない。
常人では考えられない程の回復速度。
もう一柱の悪魔の影響が出ているのではと勘ぐってしまう。
キャロルが置かれている状況を今説明するべきか、ミントは悩み、村長をチラと見た。
村長は一度目が合うも、直ぐにそっと目を伏せた。
今はやめておけという意味だと解釈したミントはそれに従い、喜ぶ家族の様子を黙って見つめるのだった。
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