終章 その13 『野山の花々 vs 雪華草 3 シモ・ハユハは眠らない。』
決勝トーナメント一回戦。
第一エンドは
「リューリサン、ナイスッ!」
セカンドの
一応私はハイタッチに応じる。
こんなやり取りをするだけでも、随分と私も進歩したものだと思うわ。
「リューリサン、浮かない顔の方面ですコトネ」
少しぎこちない日本語で
ベトナム人の父親を持つ彼女。
その身体は大きく、迫力がある。
その分スウィープも強力なのだが。
「…分からないわ。でも、何か変ね」
私の
しかし、そこに違和感を覚えたのだ。
何が?と聞かれてもそんなモノ、私にも分からない。
ただ…。
「リューリ!結果は出たケド、もっとハウス広く使おう?」
サードの
雑音。
昨日からの連戦で疲労した身体に、高周波のナイフが突き刺さる。
ちょっと黙っていて欲しい。
言葉にするのにも億劫で、私は目を細める。
ハナと会話をしていたのだ。
盤面を睨みながら。
初めてじゃないかしら?
ハナとこんなにも話をするのは。
もちろん、私達は一言も言葉など交わしていない。
それでも私達は会話をしていたのだ。
普段動じないようで、序盤から揺さぶったら慌てていた。
本当にからかい甲斐がある。
次のエンド。
ハナ達の後攻。
そこでもハナと言葉なき会話を交わす。
どう?
あなたに通れるかしら?
通るよ。
お前こそ通れるのかよ?
通るわ。
ホラ。
…あら?
…失敗じゃないかよ?
相変わらず体力ないヤツ。
連戦から来る疲労だよ。
あなたのチームならちょうど良いハンデだわ。
それに、あなたには一点しか渡さないわ。
…本当に性格悪いよな、お前。
次は
取り返すわ。
違う。
取られたら取り返す、ではない。
もっと大きな視点を持てよ。
第三エンドで
奇数エンドを取り続けて最終第八エンドはどちらが後攻になる?
関係ないわ。
私の
「…ューリ!リューリ!
雑音。
「聞いてるの!?リューリ!」
リューリよ。
チームメイトの声は聞くべきだ。
だが、
お前さんの扱いを知らないな。
でも。
でも、
私の弱点も何もかも。
全てを分かっている。
だから
パパの願いを叶えるためにも。
願い?
行き過ぎた願いは呪いだろ?
あと、不器用すぎ。
お〜イテテ。
お前の
正にソレだな。
…減らず口ね。
それで?
どうするの?
第七エンドが終わり、得点は
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