閑話休題 野山乃花 『物書きが本気でパロディやるとこうなるのだ。』

五月末。

私は一年生でチームを組んだ。

あと、割とどうでも良いけど五月末で私は十六歳になった。

まぁ、何が変わるかっていうと変わらない。

けど、年末年始だけじゃなくて、こんな時に区切りをつけて良いと思っている。

私の、新しい一年が始まる。


さて、私は自室で悩んでいた。

タブレットPCを机にコトリと置く。

「むふ〜ッ」

眼鏡を曇らせる。

練習メニューに自分の新しいチーム。

誰の何を重点的に育てていくか。

そんな事をずっと考えている。


…少し嘘をついた。 

次の小説のネタをどうするか…?

そんな事も考えていた。

まぁBLなんだけど。

次はきちんとカーリングの話を書きたいな。

いや、ちょっと派手目なヤツで。

いやいや、やはり格闘系で。

私はタブレットPCに指を這わせる。


☆☆☆☆


「な…なにィィ!?」

「お…お前はッ!?」

「ば…馬鹿な!?」

「生きていたんだね?兄さんッ」

「惰弱。相も変わらずその涙。地獄から舞い戻ったぜ。お前らに復讐する為に猫年聖投士にゃんこ干支カーラーとなってな」

「な…なにィィ!?」

「そ…そんなっ!?」

「ば…馬鹿な!?」

「笑止!我ら干支聖投士干支カーラーズ猫年にゃんこなどおらんわ!」

「い…いや待て。確か老師に聞いた事がある。かつて神話の時代。神が干支聖投士干支カーラーズを決める際に…騙され、聖投士カーラーズになれなかった動物がいたと」

「な…なにィィ!?」

「そ…そんなっ!?」

「ば…馬鹿な!?」

「飛龍、まさかその動物とは!?」

「そ…そうだ。それこそがにゃんこ。伝説の失われた干支ロストアニマル…」

「フッ。そうだオレは生還不能といわれた地獄から舞い戻った…まさにこれこそがバター猫の逆説バター猫パラドックスだ。改めて名乗らせてもらおう。オレの名は輝跡きゃっと猫年干支聖投士にゃんこ干支カーラー輝跡きゃっと!さぁおしゃべりはここまでだ!喰らうがいい!猫年聖投士にゃんこ干支カーラーが誇るアイスも吹き飛ばすデリバリーをッ!肉球天翔にくきゅうてんしょう!!」

「う…うわぁぁ!」

「何だこのデリバリーはッ!?」

「無数のストーンが!ま…まるでにゃんこの…ふにふにの肉球にくきゅうのように次々に襲いかかるデリバリーだ!?」

めてくれ!輝跡きゃっと兄さんッ!」

「惰弱だぞ!瞬兎しゅんと!そんな事で卯年聖投士うさぎ年カーラーが務まるものか!?海外ではオレ達猫年にゃんここそが選ばれし干支聖投士干支カーラーなのだ!」


……。


輝跡きゃっと、どうしても行くのですか?」

「お嬢さん、オレは猫年にゃんこだ。鎖に繋がれた戌年わんことは違う。自由気ままに生きるのさ」

「この先、暗闇を司る亥年、子年、丑年との戦い、さらに黄龍率いる五行衆との戦いがあります。あなたが力になってくれたら」

「お嬢さん、オレのヒゲが風を感じたら。肉球は自然とあんたらへと向かうだろう。それまでは、さらばだ」


☆☆☆☆


はっ…!?

設定とプロット作るだけだったのにきっちり一章書いてしまった…。

しかもBL要素が無い。

いや、これパロディっていうか、パクリだろ。

オマージュってレベルじゃないし、な。

とりあえずもったいないからアップだけしておこうか…。


この時の私は、この作品がもたらす結果を想像すらしていなかった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る