第五章 その1 野山乃花 『後に"Wild Flowers"と呼ばれる花々。』
六月。
高校の
私のチームは私ともう一人以外はカーリング未経験という、それはそれは育て甲斐のあるチームだった。
こうなると私自身は自分のスキルアップどころでは無く、貴重な氷上練習は全てチームメイトの指導にあたった。
そして氷上練習が無い日は徹底的な
まずはチームで走り込んだ。
同学年の一年生はもちろん、先輩達からも「
「ボク、カーリングって、もっと、緩っ、いっ部活って思って、た!」
短い髪を揺らしながら少し後ろの小柄な女の子が喋る。
息は上がっているが、それでも話しながら走っているのだから、大したものだと思う。
彼女は
私より幾分背が低いのでかなり小柄な部類だと思う。
本人いわく「小さな
「
ベンチで髪の長い女の子が叫ぶ。
私以外の貴重なカーリング経験者にして、うちのメンバーでは唯一の二年生。
事情があり、彼女だけは
そして。
走っている内に前方にもう一人女の子の背中が見えてくる。
「
「無理無理無理〜ッッ!なんで皆そんなに速いのよ!?」
陸上やってない私でもそのフォームはダメだろって思う走り方。
マンガでしか見ることのない、足上がってない、両腕はダラリと下がってるフォーム。
ホント、マンガだったら目は✕印で口からは舌がはみ出しているだろう。
名は体を表さない好例。
無駄口が多くはっきり言って
私と
「ハナって、体力あるよね?その小さい身体のどこにそんなパワー秘めてるの?」
まだぜぇぜぇ息を切らしながら
「野山乃花はカーリング塔と呼ばれる高い塔に登り、修業をした事があるそうだ」
後ろからひょっこり現れた三年生の
「えっ!?あの三日三晩掛けてもまだ登れないと言われるカーリング塔に!?ボクびっくりだよ」
「それだけじゃあない。七つ集めると願いが叶うと言われる伝説の
「ええっ!?カーリングストーン一つで三十キロはあるから…七つで二百十キロもの
「はいはい、もんじぃ。新入部員に変なこと吹き込まないの。お邪魔しました〜」
同じく三年生の
…なんだったのか。
「…終わったぁ〜」
そしてようやく走り終えた
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