第二章 その8 野山乃花 『目付きの悪いヤツ、デカイヤツ、とにかくよく食べるヤツ(←今、ココ)。』
バイパス沿いのチェーンのラーメン屋。
私も家族とたまに来るが、実は有名カーラーのサインも飾ってある。
長野県出身のカーラーはもちろん、北海道の有名選手までサインがある。
席に着くと各々がラーメンを注文する。
おもむろに長門先輩が立ち上り、すぐに戻ってくる。
手には茶碗に山盛りの
「ここ、ご飯お代わり自由なんだよね」
山城先輩が珍しくもなさそうに言う。
きっといつもの事なのだろう。
まだラーメンも来ていないのにどうするのだろうと思っていたら。
長門先輩はおしぼりできちんと手を拭いた後、側に置いてあった
「頂きます」
わっしわしと食べ始めた。
その光景すらもいつもの事なのだろう。
山城先輩も伊勢原先輩も何も言わない。
白米&塩。
恐ろしくシンプルな食事。
そしてあっという間に平らげると、また席を立つ。
…お代わりか。
またしても白米&塩。
二杯目が食べ終わり三杯目を持ってきたところで、ラーメンが到着。
長門先輩はラーメンに浮かんでいる海苔をご飯に乗せて、またわっしわしと食べ始めた。
そして四杯目でラーメンとご飯を一緒に食べる。
…もちろんスープは最後の一滴まで全て飲み干していた。
気持ち良い程の食べっぷり。
「ごちそうさまでした」
きっちり手を合わせる長門先輩。
そんな長門先輩を横目に。
「そう言えば野山さん…ううん、乃花ちゃんでいいかな?いつもタブレットPC持って歩いてるけど何かゲームやってる?」
伊勢原先輩が私をさりげなく名前で呼びながら聞いてくる。
「ええと…タブレットではあんまり」
…タブレットPCはほぼBL専用端末です、とは言えない。
「なら家庭用ゲーム?ねぇ
「やってますよ」
伊勢原先輩が口に出したゲームは私もやっている有名なゲームだった。
「良かった!フレンドになろ?私達三人もやってるんだ。スマートフォンでもフレンドID交換出来るでしょ?交換しよ?」
…まぁ私は基本的に
「送りましたよ」
長門先輩と山城先輩にもwebサイトを介してIDを送る。
「ありがと!へぇ~これが乃花ちゃんのアバターかぁ…ってコレは…」
何故だか伊勢原先輩の手ががスマートフォンを見ながら震えている。
「…浅葱色の…悪魔ぁぁぁ」
長門先輩が大袈裟に頭を抱えた。
…なんやねん。
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