第9話 勇者爆誕
いつの間にか、ミラがそこに立っていた。
結界はまだノブとカイザード を覆うように展開されておりタイマーも6分を過ぎていた。ノブは、さも当然のように主従契約を受け入れることに戸惑いを覚えていた。
「お、おいミラ。話しを進めないでくれ。何で主従契約を結ぶ必要があるんだ?」
「何を言ってるの? 古代の歴史書でも強敵に勝った後に、主従契約を結んでいるわ」
「格闘漫画とか戦った敵が仲間になる事はあるけどさー、主従契約を結ばないという事はできないのか?」
「できないわ。主従契約を結ばなければカイザードは死ぬことになるわ。それでも良い?」
「いやそうれは嫌だけど。このまま俺の勝ちで終わるだけというのはできないのか?
それに何で主従関係を結ぶ必要があるんだ。」
「それはできないわ。この世界のルールでそう定められているもの。モンスターが仲間になるには、主従関係を結ぶ必要があるのよ。主従関係が結べないならノブあなたはカイザードを無抵抗の状態で倒さなければこのバトルフィールドが解除できないのよ。」
「ちっわかったよ。ミラやってくれ。」
「カイザードは良いかしら?」
カイザードは首を縦に振り承諾する、すると今まで展開されていた結界が解除された。
それを見たミラは、契約魔法を唱える。
ノブとカイザードの周りに魔法陣が現れ、ノブの魔法陣から光の束がカイザードに向けて出た。その光がカイザードに到達するとカイザードが光に包まれた。ノブは光が眩しいため手で隠し目を閉じてしまう。数秒で光が消えてもノブは目がチカチカしたため開けることが出来ないでいた。
「勇者殿よ、これからよろしく頼む。」
今まで野太い声だったのが、急に女の声になり驚いたノブは、目を見開きカイザードの方を見た。
そこには、黒髪で黒のビキニアーマーとマントを着たグラマラスな美人が立っていた。
首には刺青が施されていた。
「お前は、カイザードか?」
「そうじゃ、儂はカイ。ザードは龍族という意味じゃぞ、だから今はただのカイじゃ」
「おめでとう、ノブ。これで貴方は立派な勇者ね」
「おい、何で勇者なんだ?」
「女の奴隷を持つとみんな勇者と呼ばれるのよ。獣人の女の奴隷だとモフモフ勇者よ」
「まーラノベでは鉄板だけど、もっと良い名前はないのか?」
「女の私にはわからないわ、男達は羨望と嫉妬の意味を込めてそう呼んいるそうよ」
「マジかよ。で、奴隷ってどこか目印はあるのか?」
「あるわ、カイの首を見て。刺青があるでしょう。それが目印よ」
「ファ、モロバレじゃん」
「勇者殿、何を恥ずかしがっているのじゃ。」
「男連中の可愛がりは耐えれるとして、ミラ以外で女子唯一の味方のアリスさんに白い目で見られるのは絶対死ぬ。」
「わかったわ。街に戻ったら首を隠せる物を買いましょう。それよりもノブ。上半身裸だから早く服を着なさい。」
「おっとそうだった。」
ノブは、慌ててメニューウィンドウを出して上半身の防具を着けるのであった。
「なあ、メニューのサポートキャラにカイが増えたんだけどサポートキャラは何が出来るんだ?」
「サポートキャラをその場に召喚することができるわ。」
「どうやって召喚するの?」
「サポートキャラの名前を呼びながら指を弾くのよ。」
「えーと、こうやるのかな? カーイ、パチン」
ノブはなんちゃら武闘伝の主人公のように右手で弾くと、ノブの前に魔法陣が現れた。その魔法陣からカイが現れた。
「まだ、恥じらいが残っているわ。勢いよくやれば完璧よ。」
「これ恥ずかしいだろう。」
ノブ達は一旦、来た道は寸断されてしまったので別のルートを辿って戻る事になった。
今現在、別のルートを辿っている最中である。
「なあミラ。この修行が終わったら次は何をするんだ」
「心配しなくても大丈夫よ。イベントは勝手にやってくるわよ。」
ノブは遠くの方に二人の人影が見えた。その人影は、何かに追われているようだ。近づくにつれて誰だかわかった。それは、幼馴染のユウナと同じパーティーを組んでいる戦士のリクトだ。
リクトは怪我をしているのかユウナが支えながら走っている。後ろからは20人位がユウナ達を追っていた。
「ノブ、逃げてあんたでは無理よ」
ユウナは、ノブ達を認識したのか声を掛けてきた。
「よう、ユウナ。久しぶりだな。」
ユウナ達が着く頃には、後ろの連中も追いついてしまった。ノブ達が逃げないよう包囲されてしまった。
「さすが、勇者殿。怪我人を見過ごせないとは。」
「助けてくれるのはありがたいけど、ノブなんで逃げないのよ。連中はあんたより強いのよ」
「いいや。状況把握が追いついてないだけだ。普通、瞬間に判断できるかよ。」
「ノブ見たでしょ。イベントが発生したわよ。」
「ああ、そうだな。さすがミラさん予言の通りですね。」
ノブは、やる気なさそうにミラに返事をした。
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